約 2,027,338 件
https://w.atwiki.jp/coffee_cup/pages/14.html
,. '" ̄`ヽ、 ,' ; '" ̄`ヽ|,.. -─- 、___ , -‐-.、 ! ! / / `ヽー-、 ', ' 、\, / / ,ハ | ヽ | `'ァ .,' /_/ | ,' .!' ./ ./ / /_` ハ / ./ | | .∠__ !/7´,ハヽ ! /!_./! 八 | |. | 弋_,ソ |/ ァr'、|/ ハ ノ |八 ',.xx , り ノ/ /レ' / ,' \| , ─- 、 xxイ イ ( 人 /ヽ. l_ `ソ 人「 `ヽ ノ\へ/─'、\.__,,.. イ ) \ \ トヾ7 レへ/レ' /`ヽ. \ \!/ メ ___ / \ 「!/ ,ハ\/ / / ソ、 ||' / |∨ / / rァ'⌒ヽr‐ァ'/ /´ヽ / __// ソ!ヘ.」/__i、_,ハ / ''"´ / !ー‐ァ'i|-ヘ」 」 | | | | あきゅーりんAA第1号(作 全裸氏) ,. -─‐-..、 ./ /´ ̄`'; ヽ , -─- 、 、 、 ノ ノ──- 、.,/ ; '´ ̄ヽ ' , ヽ;>‐‐< -─</ | | / / 、 \ .ノ ;ノ / ./ / ハ ハ Y´ Y´ </ |/ |-‐ / .| / __| | | ∠、 /ァ'7゙ハ. レ' | _ハ ノ '、 八 ヽ. 八弋_ソ 7´,ハ`Y\ ) ヽ. _.ノ 7⊃ ' 弋_ソ 人 )イ ハ \. 人 l7 ̄`ヽ ⊂⊃ | | ノ ヽ.,__ >,、 ノ / / , /´ )イ `,ァ‐!ァイ,/∠イ /|/ Y`7´|,//, _,,.. -‐- 、i |ヽ!/ .//´ i ! ∨/! /'、_____ | N7 / ∨  ̄`ア く,| ! .| イ 、ソ ト、 / ! |_,! |ーァイ / ∨ヽ. |. ! | / ! / / i__」 | |,| ,' '、' / i | ハ !| i/ ;' ! ,| ゝr‐'ァ‐-、 / / ハ /∧! ヽi ノ、i / / / ヽ あきゅーりんAA第2号(作 50) ,. -‐─-..、 ,. -─- 、 / /´ ̄ `' ; ',. ./ /´ ̄`ヽヽ __,,,......,,,、 | | | r-、 | | ,>'"´''"´ _|>r‐ァ./ / | ⌒ ー--‐、 '、ヽ / / \ア求 フ/ / ,. -‐ '"´ `7 / ∠弋ソノ」 ,ハ/ / | .,' /__/! ,| ハ‐- ,ハ\| r‐/ / r、_ / .| ./‐く |_/ |/ ‐ァテく/| / ̄\` く 〉 `ヽ ∠,_,,.イ| ./ hハ |ソ ,ハソ / |\ \ (ヽ' | |/ レ、 ゝ゚' . ゝ-゚'レ7 < ヽ ヽ. X_ア ̄ `---/ .|ハ⊃ rァー 、 // \∧ ! |/ ./ .|.人 ヽ ノ/ / \| | .レヘ. / ,| 、.,__ イ|/| / \ // /| |/ヽ| |ト// 7 /| _..>‐'"´ ̄`ヽ. ,イ  ̄ . / |// ,' < > ,ハr '7´ 、_ ∧ \_/ // /| \| 〈 |∨ < > ,. '"´/r‐‐く/ ____ ∧ ∧ ソ \ ∨ /___r/ ‐ァ'7´__ /-.、|/`'' ー--< < > / ` ー--‐‐''"´ | rく.__/こ\___」 /___ \ |/ _,,.. '´ / /-く_/─|_」─-、」 | ` ー─ ''"´ |/ / | \ / r/ / | \〉--、 /| >-\ あきゅーりんAA第3号(作 50) トップページのAAはこいつを微妙にカスタマイズしたものです (⌒)___(⌒) ,Y'´ *ヾ. ノく,ノ ノハ ))ゝ. (ハ ^ヮ^ノ ,´i'_ソノj,〈つ )) 〈_,ノ^^^ヽ.´ .^^i_ソ_ソ^´  ̄ ̄  ̄ 手乗りサイズあきゅーりん(作 50)
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/215.html
注意書きです。 1 このSSは、『二人はW ~Yは二度と帰らない~』の中編です。先に前編を見ておく事をお勧めします。 2 調査パートです。 「着きました。ここですよ」 二人は男性に連れられて、ある一軒家の前に立っていました。 「ここですか?」 「はい。私の自宅です。……どうぞ、中に」 男性に促され、二人は家の中へ入りました。 「こんにちは~……」 「お邪魔します……」 「ただいま!みんな、探偵さんを連れて来たよ!」 男性がそう言うと……。 「あなたがゆっくり探偵……?」 「お姉様、大丈夫かしら?」 「妹様、彼女等は巷で噂の探偵らしいですから、きっと大丈夫ですよ」 「むきゅう……、これで何とかなればいいのだけれど……」 向こうの部屋から、れみりあ、ふらん、さくや、ぱちゅりーの計四人の胴付きゆっくりがぞろぞろ出てきました。 「ああ、この子達は、私の飼いゆっくりなんです」 「あの……。皆さん、元気そうなんですけど……」 「……部屋の奥にいます。……どうぞこちらへ」 そう言われ、二人が部屋に入ると……。 「ZZZ……、ZZZ……」 全長60センチ程の、一匹の大きめなめーりんが気持ちよさそうにシエスタしていました。 「この子が……ですか?」 れいむは男性に尋ねました。 れいむが疑うのも無理はないでしょう。 目の前のめーりんはシエスタの真っ最中で、とても深刻そうな容態には見えなかったのですから。 「はい。見た目は大丈夫そうなのですが……」 「……もしかして、ずっと眠ったままとか……?」 「いえ。ちゃんと起きますよ。……めーりん。起きなさい」 男性はめーりんをユサユサと揺らしました。 「ZZ……、じ、じゃおう……?」 めーりんはシエスタから目が覚めたようですが、まだ寝ぼけ眼のようです。 「それじゃあ、一体どこが……?」 「……あなた方ゆっくりなら、分かると思ったんです」 男性はそう言うと、めーりんの額の髪の毛を少し上げました。 「じゃおう」 めーりんは少しくすぐったくて笑いましたが、男性と他の四人の飼いゆっくりの顔は沈んだままでした。 めーりんの額の髪の毛の下を見た瞬間。 二人は言葉を失ってしまいました。 そこには、アルファベットの『Y』の文字が刻み込まれていました。 ……それは、ゆーパントの能力の被害を受けた証でもありました。 「これは……!」 「……ガイゆメモリーの刻印……」 「……やはり、そうですか……」 二人が漏らした言葉に、男性は重々しく、そう言いました。 「……詳しく、話してもらえますか?」 「……はい」 れいむに促され、男性と飼いゆっくり達は少しずつ、何があったのかをその口から語り出しました。 男性は、自分の事を愛でお兄さんと名乗りました。 愛でお兄さんは自分の飼いゆっくり達と共に、毎日何事もなく暮らしていました。 そんなある日の事です。 愛でお兄さんが会社に出勤している間、飼いゆっくり達が家で留守番をしているのですが……。 「むきゅ!みんな、今日は何の日だか分かる?」 「どうしたと言うの?ぱちゅりー」 「さくやー、何の日だっけ?」 「ええ。今日は、お兄さんの誕生日なんですよ」 「じゃおーう!!」 「むきゅ!だから、お兄さんがお仕事に行っている間に、私達でお祝いする準備をしましょう! 「それはいいわね」 「お兄さん喜んでくれるかなぁ?」 「ええ。きっと喜んでくれますよ」 「じゃおじゃーお!!」 今日がお兄さんの誕生日だから、皆で祝おうというぱちゅりーの提案に他の飼いゆっくり達も賛成し、それぞれ準備をする事になりました。 ぱちゅりーはお兄さんのプレゼントを。 れみりあとふらんはクラッカーやケーキに使う蝋燭等を。 さくやはパーティで食べる料理の材料を。 めーりんは家で留守番を。 めーりんを除く飼いゆっくり達は一緒に家を出て、近くのデパートの中で分かれて、入口付近で待ち合わせをする事に決めました。 ……数時間後。 それぞれの買い物を終えて、飼いゆっくり達が家に帰宅すると……。 「むきゅ?鍵が開いているわ」 ぱちゅりーが、出かける時に閉めたはずのの鍵が開いている事に気付きました。 「お兄さんが帰ったのかしら?」 れみりあが腕時計を見ると、まだ午後二時頃。お兄さんが帰宅するのは大体六時頃なので、帰ってくるにはまだ早すぎます。 「もしかして、具合が悪くて帰って来たのかな……?」 ふらんがお兄さんの身に何かあったのではと心配しました。 「ともかく、中に入りましょう」 さくやが慌てずに、中に入るよう言いました。 飼いゆっくり達が家の中に入り、居間へ向かうと……。 「むきゅ……!?」 「これは……」 「……ひどい!」 「一体、何が……」 居間はひどい事になっていました。 タンスの引き出しは全て引かれた状態で中の服は全て荒らされ……。 棚の引き出しの中の物はあちこちに散乱し……。 すぐそこの窓ガラスが割られ……。 テーブルの上に置いてあった物は叩き割られ……。 無事と言っていい場所はほとんどありませんでした。 「もしかして……、強盗!?」 「むきゅ!?めーりんは!?」 居間にはめーりんがいたはずです。 ですが、肝心のめーりんの姿はどこにもありません。 「手分けして探しましょう!」 「私、二階を探してくる!」 四人は手分けしてめーりんを探しました。 ……そして。 「いました!奥の部屋です!」 さくやが、奥の部屋で寝ているめーりんを見つけました。 すぐさま他の飼いゆっくり達が駆けつけます。 「めーりん!大丈夫!?めーりん!」 めーりんと唯一会話が可能なふらんが、めーりんを揺すりながら呼びかけました。 「じゃお……?じゃおーう!」 「良かった……。大丈夫だって」 飼いゆっくり達は、とりあえずめーりんが無事な事に安堵しました。 「めーりん!何があったの?」 「じゃおう……」 「……分からないって。気付いたらここにいたって」 「そうですか……」 「むきゅう……、警察に電話を……」 「そうね……」 飼いゆっくり達は警察に電話をし、その後にお兄さんにも連絡しました。 自分の家が強盗に荒らされたと伝えられたお兄さんはすぐさま家に帰宅しました。 それから数十分後に警察が家に駆けつけました。 警察の事情聴取が終わり、警察が帰った後……。 「むきゅう……、お兄さん、ごめんなさい……」 「私達が、家を出たから、こんな事に……」 「うっ、ぐすっ……」 「……お許しください、御主人様」 「じゃおう……」 飼いゆっくり達は、勝手に家を空けた事を謝りました。 捨てられてもおかしくは無い。そう思いながら。 「……いや、僕は怒ってないよ」 「……え?」 「お前達が無事で、良かったよ。……それに」 「それに……?」 「お前達は、僕のためにやろうとしていたんだろ?……それを怒るなんて、出来ないよ」 「お、お兄さん……!」 「……こんな状態だけど、パーティー、やろうか」 「……はい!」 「めーりん、本当に何もなくて良かったよ」 「じゃおう!!」 お兄さんはめーりんの頭を撫でました。 ……その時に、見つけてしまったのです。 その、『Y』の刻印を。 「……もしかしたら、めーりんは強盗ではなく、ガイゆメモリーを持っていたゆっくりに襲われたのかもしれません」 「このマークを見つけたのは?」 「昨日です。いつもめーりんにはブラッシングや髪を洗ったりしているので、気付かないという事はありません」 「……警察やゆっクリニックには、この事を話しましたか?」 「とんでもない!この事が知られたら、めーりんは……!」 お兄さんは途中で言葉を詰まらせてしまいました。 お兄さんが、警察やゆっクリニックなどに事情を説明できなかった理由。 それは、ガイゆメモリーの保持者や能力の被害者は、問答無用で殺傷処分されてしまうからです。 ガイゆメモリーに関する情報がほとんど無い現状では、二次被害を防ぐと言う名目でゆっくりを殺すしかないのです。 だからこそ、お兄さんは巷で噂になっている、さなえとれいむの探偵コンビに頼むしかなかったのです。 「お願いです!……めーりんを……、助けて下さい!」 「むきゅうっ!めーりんは大切な家族なの!」 「他に頼れる人がいないのよ……」 「めーりんが殺されちゃうなんて……、そんなのやだ……!」 「お願いします!……どうか、めーりんを……」 お兄さんとめーりんを除く飼いゆっくり達は、二人に深々と頭を下げました。 「じゃ、じゃおう……?」 めーりんは現状を理解できず、おろおろしていました。 「……分かりました。できる限りの事なら、お手伝いします」 さなえがお兄さん達にそう言いました。 「本当ですか!?ありがとうございます!」 その言葉に、お兄さん達は大喜びしました。 「ですが、私達も準備をしなければいけないので、本格的な調査はまた後で……」 「……分かりました。私は、会社があるのであまり協力はできませんが……」 「では、ここら辺で一旦失礼させて頂きます」 「安心してください!めーりんさんは、私達が助けますから!」 「……お願いします」 私は、親の顔を知りません。 私は、姉妹の顔を知りません。 産まれた時から、私は一人ぼっちでした。 私は路地裏で、惨めな日々を送っていました。 何度も、同じ仲間のはずのゆっくりや、野良犬に殺されそうになりました。 その度に、私は何とか生き延びました。 ですが、ある日とうとう空腹で動けなくなってしまいました。 もう、私はここで死ぬんだ。 そう思った時。 あなたが、私を救ってくれたのです。 二人はお兄さんの家を後にし、事務所へ戻りました。 「れいむさん……。あのめーりんさんは……」 「……ええ。あのめーりんには、ガイゆメモリーの成体コネクトが見つからなかった。……つまり、めーりんはゆーパントではないわ」 「そうですか……。……一体、誰があんな事を……。それに、何のメモリを使ったのか……」 「お忙しい所、お邪魔するわね」」 突然、さなえでもれいむでもない声が、事務所内に響き渡りました。 「……あんたなの?ゆかり」 れいむが気だるげに後ろを振り向くと……。 「ハロー。お久しぶり」 そこには、日傘を持って、フリフリドレスを着ている一人の胴付きゆっくり……、ゆっくりゆかりが立っていました。 「ドアを開けた音すら聞こえなかったわ……」 「注意力が足りないわねぇ。それでも探偵?あ、ちょっと疲れたから座るわね」 ゆかりと呼ばれたゆっくりは近くに置いてあった椅子に座りました。 「さっき言っていたあの言葉。……どういう意味?」 「あなた達、さっき依頼を受けてきたんでしょ?それもガイゆメモリー関係の」 「……よく知ってますね、ゆかりさん」 「情報屋を舐めないでもらいたいわ」 ……このゆっくりゆかりは情報屋として裏で活動しており、二人もこのゆかりに何度かお世話になっていました。 ゆかりの情報は、まるで事件の当事者ではないかと疑わんばかりに正確でした。 そして何より、ガイゆメモリー関係の情報網にかなり特化しているのです。 「さっきあなた達の話をドアの向こうから少し聞かせてもらったけど……、そのメモリは、多分最近ごく数本だけ出回ったばかりのメモリだと思うわ」 「何でそんな事が分かるんですか?」 「今まで遊都で起きたガイゆメモリー関連の事件で、『Y』のメモリは一度も使われた事例がないのよ。……だから、能力も分からないわね」 「そうなんですか……。めーりんさんは、そのメモリの被害に……」 「あと、もう一つはっきりしている事があるわ。……そのメモリは、結構レベルが高いメモリであると言う事。つまり、持ち主を選ぶという事ね」 「持ち主……」 「今までの事件で何度も使われている、『D』や『Q』のような、お粗末なメモリなんかじゃないわ。……胴付き位かしら。適応能力があるのは」 「……何が言いたいんですか?」 さなえは嫌な予感がしました。 「はっきり言うわ。メモリの持ち主……、ゆーパントは、あの飼いゆっくりの中にいるわ」 「……そんな!」 さなえは信じられませんでした。 あの家の飼いゆっくり達は、めーりんの事を家族同然に、大切に想っていました。 そんな彼女らの中の誰かが、めーりんに毒牙を向けたなんて、考えられなかったのです。 「そんな!動機は一体何ですか!?いや、それより、どうして彼女達だって断言出来るんですか!?」 「動機は分からないわ。……でも、あの家の付近に胴付きゆっくりを飼っている家は一軒もないわ」 「それだけで……!」 「仮に、他の胴付きゆっくりが犯人だとしましょう。……何で、あの家じゃなきゃいけなかったの?」 「……え?」 「飼いゆっくりなら、大抵が衣食住は保障されているわ。……なのに、わざわざ他の家へ押し入るかしら」 「そ、それは……」 「それに、メモリの力を使うなら、わざわざ他人の家に侵入して飼いゆっくりに効果を試すより、そこら辺の野良ゆっくりに使った方が簡単よ?」 「……」 「……まあ、私の話を聞き止めておくか、聞き流すかはあなたの自由だけど」 「……それでも、私は信じられません……!私は、私のやり方で、めーりんさんを襲った犯人を捕まえます!」 そう言って、さなえは事務所から飛び出してしまいました。 「……熱くなりすぎねぇ。探偵には向いていないんじゃないかしら?」 「……私の『相棒』を馬鹿にしないでちょうだい」 先程まで沈黙を守っていたれいむが、初めて口を開きました。 その口調には、怒りがこもっていました。 「あら、ごめんなさい。そんなつもりじゃないのよ」 「……でも、あなたの言う事には一理あるわね」 「それはどうも。ところで、追いかけなくてもいいの?」 「あいつは一度ああなったら、そう簡単には元には戻らないのよ」 「熱血漢ねぇ……」 「……私は、あの家の飼いゆっくり達を疑う事にするわ」 「……あら。さっきのは冗談交じりだったのに」 ゆかりは少しだけ驚いた様子でれいむにそう言いました。 「もし、あんたの言うようにあの飼いゆっくり達の中に犯人がいるなら、……確かに、可能なのよ。それも、全員」 「あらあら、びっくり」 ゆかりはわざとらしく目をパチクリさせてそう言いました。 れいむはそんなゆかりを冷ややかな目で見ましたが、続けました。 「あの飼いゆっくり達は、それぞれの買い物を済ませるために、一度別れたわ。……つまり、全員買い物をしている間のアリバイを証明してくれる者はいない」 「じゃあ、その容疑者達は、どんな方法でめーりんにメモリを使ったのかしら?」 「まず、ぱちゅりー。最初に他の飼いゆっくり達に、今日はお兄さんの誕生日だって言いだしたのは、ぱちゅりーなのよ」 「ふんふん、それで?」 「あれって、皆をデパートで買い物をさせて、自分はすぐに家に戻ってめーりんにメモリを使う。……買う物もプレゼントだけだから、適当に選べば良い訳だし」 「ふーん」 「次にれみりあとふらん。この二人は共犯で、一人が買い物をしている間にもう一人が戻る……」 「確かに可能ね」 「あと、さくや。さくやも、ぱちゅりー達と同じ方法で戻る事が出来るのよ。……それに」 「それに?」 「家に戻って、最初にめーりんを見つけたのは、さくやなのよ。……その時に、メモリを使ったっていう可能性もあるわ」 「……色々と聞いてみたけど……」 「ええ。分かってる。自分でも、無理な部分がある事は」 「……聞かせてほしいわね」 「……まず、居間だけが荒らされていた事。ただめーりんにメモリを使うだけなら、そんな事をする必要はないわ」 「そうねぇ」 「次に、めーりん。もし、飼いゆっくりの中の誰かが犯人なら、……大人しすぎるのよ、めーりんが」 「もしかしたら喋ったら殺すとでも言われてるんじゃないの?」 「それにしてはあの表情、怯えているようには見えないわ。……と言うよりも、本当に何も知らない様子だったし」 「色々とおかしいわねぇ」 「最後に、……これが何よりね。動機よ動機。どうしてめーりんに使ったのか。何故野良ゆっくりとかじゃなかったのか。しかも、何故あの日に使ったのか」 「別に、違う日に使っても良かったのよねぇ」 「……分かるようで分からない事だらけなのよ」 「プラマイゼロって感じかしら」 「……とにかく、私は彼女達を調べる事にするわ」 れいむはそう言うと、事務所から出て行こうとしました。 ……が。 れいむはドアの前まで来てから再びUターンしてしまいました。 「あら、どうしたの?」 「……私が調査に出て行ったら、事務所には誰もいなくなってしまうわ」 「鍵をかければいいじゃない」 「その間に別のお客様が来るかもしれないわ」 「……あなた、ただ単に外に出るのが面倒くさいんじゃない?」 「……半分そうね」 「事件を解決する気があるのかしら」 「さなえに任せれば大丈夫だと思うわ。……ああ見えて、結構有能だし」 「あら。珍しい。あなたが誰かを褒めるなんて。何か悪い物でも拾って食べた?」 「うっさい」 「あらあら怖い怖い。それじゃあ私はここら辺で逃げるとしますか」 ゆかりはおどけながら事務所のドアを開けて帰ろうとしました。 「……ゆかり」 それをれいむが引きとめました。 「何かしら」 「……前から聞きたかったんだけど、あんた、何でそんなにガイゆメモリーの事に詳しいの?ただの情報屋にしてはあんまり……」 「それに関してはノーコメントよ。さすがに商売の秘密を教える訳にはいかないわ」 「……あんたの事だから、そう言うと思った」 れいむはお手上げとばかりに首を横に振りました。 「それじゃあ、本当に帰るわね」 「あ、それじゃあいつもの情報代……」 「今日はいいわ。さっきのはほんのサービスだから。あんな情報じゃあ、世間話レベル位にしかならないわ」 そう言って、ゆかりは今度こそ本当に事務所のドアから出て行きました。 「……」 事務所には、れいむが一人だけ残った状態になりました。 「……」 れいむは流し場へ行くと、鍋の中を覗きました。 鍋の中には、さなえが食べ残したカレールーが残っていました。 それをれいむは一口分指で掬い、ぺロリと舐めました。 「……辛い」 涙目になっているれいむのその呟きを聞いている者は、誰もいませんでした。 「パクパク……、全く……、もう!ゆかりさんったら、あんないい人達が犯人の訳がないじゃないですか!」 れいむが自分の推理論をゆかりに説明していた頃……。 さなえはファミリーレストランで350円のカレーライスを注文して食べている最中でした。 もしここに相方のれいむがいたら、きっと怒り狂っている事でしょう。 「パクパク……、れいむさんもれいむさんですよ!ゆかりさんに何も言わないんですから!ああ、美味しいなぁ!」 さなえは怒って文句を言いながらカレーを食べて喜ぶという、結構難しい芸当をやってのけていました。 「ごっくん……。ご馳走様でした」 カレーを食べ終えたさなえはファミリーレストランを出ました。 「さて!腹ごしらえも済んだ事ですし、調査開始です!」 カレーで気力をチャージしたさなえは意気揚々としていました。 「ゆかりさんだけの情報では、犯人を特定する事は出来ません!ここは、他の情報屋達に聞いてみた方がいいですね!」 さなえは、遊都にいる他の情報屋達に情報を提供してもらう事にしました。 「おお、どうも、清く正しいきめぇ丸です」 「こんにちは、きめぇ丸さん!」 最初に訪ねたのは、カメラ片手に遊都を飛び回って情報を集めているきめぇ丸でした。 このきめぇ丸は報道お姉さんの飼いゆっくりで、自分が撮影した写真を自分のブログに載せたりしています。 ……と言っても、所詮ゆっくりのブログなので、あまり人気はないのですが。 「きめぇ丸さん、最近ここら辺で何か変わった事はありませんでしたか?」 「おお、そうですねぇ……。最近お姉さんがお小遣いを減らしてしまったので、財布の中が寂しいんですよねぇ……」 どうやらきめぇ丸は、情報量の上乗せを催促しているそうです。 「はぁ……。……はい、どうぞ」 さなえはきめぇ丸に500円玉を握らせました。 「おお、感謝感謝。……最近、遊都のある地区で、空き巣の被害に遭っている家が多いんですよねぇ……」 「空き巣?」 「ええ。被害者達は表沙汰にはしたくないらしくて、今の所ニュースなどで報道はされていませんが」 「……その地区って、どこですか?」 「おお、何か甘い飲み物でも飲みたいですねぇ」 「……きめぇ丸さん」 「おお、失礼失礼。少し調子に乗りすぎましたね。それはですね……」 きめぇ丸はさなえにその地区の名前を教えました。 「……この地区は……」 「どうかしましたか?」 「えっ!?い、いえ、何でもありません!そ、それじゃあきめぇ丸さん、どうもありがとうございました!」 「?……おお、さらばさらば」 さなえは慌てた様子できめぇ丸に別れを告げてその場を離れました。 「……この地区、あの依頼人の方の住所がありますね……」 そう。空き巣の被害が相次いでいる地区には、お兄さんの住所も含まれていたのです。 「……もしかしたら、あの家は空き巣に荒らされたんじゃ……」 ですが、それだとすると、今度は空き巣とガイゆメモリーの関連性が分からなくなってしまいます。 「……これだけじゃ足りないですね……」 さなえは次の情報屋を探す事にしました。 「うふふ……、メリークリスマス……」 「メリークリスマスです、れてぃちゃん!」 次に訪ねたのは、何故か年中ミニスカサンタの衣装で遊都のチビッ子達にオモチャを配っている、ゆっくりれてぃでした。 れてぃは遊都のチビッ子達の隠れ人気者で、「れてぃちゃん」の愛称で呼ばれています。 さなえも親しみをこめてれてぃちゃんと呼んでいました。 「うふふ……。さなえちゃん、何か気付かないかしら?」 「え?何がですか?」 「うふふ……、私ね、最近ダイエットに成功したのよ。お陰で少しスリムになったわ……」 「あ、そうですか。ところで、何か最近変わった事はありませんでしたか?」 「……少し凹むわね……。……そうね。……最近、遊都内のコンビニで、強盗が相次いでいる事位かしら」 「強盗ですか?」 「ええ。ニュース見なかった?一昨日から昨日までの間に三件もコンビニ強盗が起きているのよ」 「強盗……」 「警察はね、店員達の目撃情報から、同一犯の可能性が高いって判断しているのよ……」 「そうですか……。れてぃちゃん、どうもありがとうございました!」 「あ、待って、さなえちゃん」 「はい?」 れてぃは抱えていた袋の中から、何かを取りだしました。 「うふふ……、はい。プレゼント」 そう言いながら、さなえに何かを渡しました。 ……それは、一昔前に流行った、だらけきっているクマのマスコットのキーホルダーでした。 「わぁ!可愛いです!どうもありがとうございます!」 「うふふ……喜んでもらえて何よりだわ……」 さなえはホクホク笑顔でれてぃに別れを告げました。 「うーん……やっぱり、空き巣とコンビニ強盗も何か関係があるのでしょうか……」 れてぃから得た情報も、ガイゆメモリーとはあまり関係が無さそうな情報でした。 「そろそろ暗くなってきますし、次で最後にしますか……」 さなえは最後の情報屋を探す事にしました。 「こんにちは!Sさん、Mさん!」 「オイィィッ!?何でイニシャルなんだよぉっ!?」 「忘れたか!?私達の名前を忘れちまったのか!?」 さなえにそう怒り狂っているのは、『謎の姉妹』と呼ばれているゆっくり姉妹の情報屋でした。 何故『謎の姉妹』と呼ばれているのかというと、この姉妹の名前を聞いても、数時間で忘れてしまうため、本名が分からないのです。 さなえもこの姉妹には古くからお世話になっているのですが、何故か名前が思い出せないのです。 「ところでSさん、Mさん、何か変わった事はありませんか?」 「教えるかボケがぁっ!!」 「数年の付き合いだろうが!何でまだ名前を覚えてないんだよぉっ!!」 「まぁまぁ、そんな事言わずに。今度スイーツポテト奢りますから」 「……最近、飼いゆっくりの誘拐事件が起きているんだよ。それも、まだ未解決」 「被害者は警察沙汰にしたくないから犯人の言うとおりにしてるんだけどさ……。……結局、飼いゆっくりは帰っては来ないんだよね」 「誘拐……、ですか」 「あんたも気を付けた方がいいよ?狙われているのは希少種ばかりなんだからさ」 「どこかで高値で売りさばかれるかもよ」 「……そうですね。肝に命じておきます。ありがとうございます、あきSさん、あきMさん!」 「オイィィィィッ!?今名字出たぞ!?」 「絶対ワザとだろ!?絶対ワザとだろお前!?」 さなえは怒り狂っているゆっくり姉妹に別れを告げました。 「うーん……。空き巣にコンビニ強盗にゆっくり誘拐……。訳が分からなくなりました……」 さなえは頭を抱えながら悩んでしまいました。 どれもこれも、ガイゆメモリーとは直接関係が無さそうな情報ばかりだからです。 「……いいえ!きっと何か関係がある筈です!さなえはこんな事ではめげません!頑張りますよ!」 さなえが自分に喝を入れるかのように、片腕を大きく振り上げた時です。 「どっ、どけぇっ!!」 急後ろから、黒尽くめの三十歳位の男が飛び出したのです。 「きゃっ!」 さなえは男に突き飛ばされ、転んでしまいました。 「痛た……、何なんですか!もうっ!」 さなえが涙目になってお尻をさすっている間に、男は横断歩道の方へ走って行ってしまいました。 「ごっ、強盗だーっ!」 「えっ!?」 声のした方を振り向くと、後ろのコンビニの中から、腕から軽く流血している、五十歳位のコンビニ店員の男性が叫んでいました。 「あっ、あんた!さっき、黒尽くめの男がコンビニから飛び出さなかったか!?」 「え!?えぇ、さっき、あっちの方に……、あっ!そ、その腕……!」 「あいつはコンビニ強盗なんだ!畜生!腕をナイフで切られちまった!は、早く、警察に連絡を……」 「待って下さい!今は手当てが先です!」 「す、すまねぇ……」 「商品の包帯借りますね!」 さなえが、怪我をした店員の手当てをしようとした時です。 キキィィィィッ!! 「ギャアァァァァァァァァッ!!」 ガシャアァァァァンッ!! グチャッ……! 男が逃げた方向から、ブレーキ音と、悲鳴と、衝突音と、何かが潰れる音が聞こえました。 数十分後……。 そこは、パトカーと救急車と野次馬の人だかりで一杯でした。 コンビニ強盗と思われる男は、横断歩道を信号無視で渡って逃げようとして、車に撥ねられ、即死でした。 コンビニ店員の男性は、野次馬達が集まる前に救急車で病院に運ばれ、治療を受けています。 「……はぁ……。今日は災難だらけです……」 さなえがボソリと呟いた時。 「むきゅ……?」 「あら……?探偵さん……?」 急に後ろから誰かがさなえに声をかけてきました。 「え?……あっ!皆さん!どうしてここに!?」 それは、あのお兄さんの飼いゆっくり達でした。 「むきゅ……。さくやが夕飯の買い物に出かけるって言うから、私達も一緒に行く事にしたのよ。家ではお兄さんとめーりんが留守番をしているわ」 ぱちゅりーがさなえにそう説明しました。 「そうなんですか……」 「……今撥ねられた人、コンビニ強盗なんでしょう?」 さくやがそうさなえに訊ねました。 「はい、そうなんですよ。……はぁ。私、血とか見るのが苦手なんですよ……。店員さんも、腕を切られてしまって……」 「怖いですよねぇ……。ナイフを持っていたなんて……」 「全くですよ……」 「ねぇ、探偵さん。何か、進展はあったかしら?」 れみりあがそう言いました。 「……すみません。……まだ……」 「……そう」 「……ねぇ、探偵さん」 れみりあの後に、ふらんが続けてそう言いました。 「はい?」 「……めーりんを、助けて」 ふらんは涙目になりなだら、上目づかいでさなえを見つめました。 「……はい!任せて下さい!絶対に、めーりんさんは私が助けます!」 「……うん!」 そんなさなえを見て、ふらんは笑顔に戻りました。 「それじゃあ、私達はそろそろ帰りますね。御主人様とめーりんが待っていますから」 さくやがそう言い、残りの飼いゆっくり達もさなえに挨拶をしたり手を振ったりしながら別れました。 「……絶対に、この事件は私が解決して見せます!」 飼いゆっくり達の背中を見ながら、さなえはその決意を固めました。 私は、幸せです。 あなたに命を救ってもらったあの日。 あなたは、私が生きる意味を教えてくれました。 それは、自分の大切な人を護る事。 ですから、私は護り続けました。 私の大切な人達を。 その大切な人達の帰る場所を。 私は、幸せです。 あなたを、護る事が出来るのですから。 「……ただいまです」 時刻は午後6時頃。 さなえは重い足取りで事務所に帰宅しました。 「あら、お帰りなさい」 事務所のドアを開けると、そこには既に帰宅していたれいむがいました。 「どうだった?何か進展があった?」 「……いいえ……」 あれからさなえはあちこち歩き回って、何か情報はないか探し回りましたが、結果は見ての通りでした。 「……はぁ……。……一体、犯人は誰なんでしょうか……」 「……さなえ。明日があるわよ。明日が駄目なら明後日。明後日が駄目ならそのまた明後日。気を楽にしなさいよ」 「……ありがとうございます」 「……気晴らしにテレビでも見ましょう。今日はあんたの大好きな『怪傑きめら丸』の放送日よ」 「あっ!!そうでした!今日はきめら丸と宿敵トラちゃんの決着が付く日でした!早く見ないと!」 『怪傑きめら丸』とは、きめら丸が日々悪党を倒し続ける、チビッ子向けの特撮番組です。 さなえはきめら丸の大ファンなので、毎週欠かさず見ています。 さっそくさなえはテレビのリモコンの電源を押しました。 『……では、次のニュースです』 「ニュースなんて二の次です!早く変えないと!」 さなえが別のチャンネルに変えようとした時です。 『今日の午後3時頃、○○県××市、遊都街の四丁目付近の交差点で、男性が撥ねられ、死亡する事件がありました』 「え……」 「どうしたの?」 さなえは今流されているニュースに、目が釘付けになりました。 『この男性は近くのコンビニに強盗に押し入り、店員の反撃を受けての逃走中に……』 「……これ、昼間の事故です……」 「どういう事?」 れいむに聞かれ、さなえは昼間に起こった出来事を全て話しました。 さなえの話を全て聞き終えたれいむは……。 「……その話、何かが引っかかるのよね……」 さなえの話の中で、何かがおかしいと感じていました。 「何がですか?……あっ、まだニュース続いてますよ」 『警察の調べによりますと、この男性は他にも数件ほど、空き巣やコンビニ強盗を繰り返しており……』 ニュースキャスターのその言葉を聞いた瞬間。 「分かった……!分かったわ!」 れいむが急に立ち上がり、そう言いました。 「え……?何がですか……?」 「やっぱり、あの飼いゆっくり達の中に、犯人がいたのよ。……そして、その犯人は……」 れいむは、さなえに事件の犯人の名前を言いました。 「……そんな……。だって、あの人は……」 「……あなたの話と、今のニュースを見る限り、その可能性が一番高いのよ」 「……」 「……さて、犯人を呼び出す準備をしましょうか。……メモリとベルトを忘れずに……ね」
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/836.html
ゆっくり Change the World(解答編) 20KB ※ふたば系ゆっくりいじめ 185 選ばれしゆっくり、ふたば系ゆっくりいじめ 336 ゆっくり Change the World(出題編)の続編です。 ※駄文、稚拙な表現注意。 ※俺設定注意 「・・・というわけだったんだよ。」 「そうか。私のれいむはれてぃに・・・」 結局のーぶるれいむは全てを白状した。 最初はしらを切っていたが、男が「正直に言えば怒らない」「それどころかあのれいむの代わりにここにおいてやる。この部屋も好きに使っていい」と言ったら全てを吐いた。 恐らく嘘はないだろう。れてぃの仕業なら今までの飼いゆっくりの失踪事件も説明がつく。 覚悟していたとはいえ・・・ショックだった。 あのれいむがもうこの世にいないなんて。 男は思い返していた。れいむとの思い出を。 なぜれいむを創り出したのか。全ては3年前にさかのぼる。 ゆっくり Change the World(解答編) 作、長月 3年前、男は大手ゆっくり企業「ゆっくりカンパニー」の会長だった。 男には1つの信念があった。 ゆっくりは万人から愛される存在でなければならない。 それこそが男の行動理念であり、男にとっての全てだった。 そうした会長直々の陣頭指揮のもと、「愛されるゆっくり」をテーマに様々なゆっくりの品種改良が行われた。 ゆっくりもみじとれいむを掛け合わせてできた「わふーれいむ」 さくやとれいむを掛け合わせたメイドカチューシャをつけた「めいどれいむ」 さなえとれいむを掛け合わせた信心深い「みこみこれいむ」 どれもヒット商品になり現在も売れ続けるロングセラー的商品である。 しかし男は満たされなかった。 もっと・・もっと愛されるゆっくりを作れないのか? そう思った男は思い切った行動に出る。 それは自社にある品種改良専門のトップブリーダーを招き、最高の「愛されるゆっくり」を作って欲しいというものだ。 研究に必用とされるゆっくりは全てゆっくりカンパニーのほうから取り寄せ、男の会社の研究員を数人を部下にすることを条件にブリーダーはこの提案を了承した。 当然社内では公私混同であると批判されたが、この研究データは会社にも役に立つことや、ゆっくりの代金やブリーダーへの報酬は男が全て負担することを説明すると渋々ではあるが認められた。 ちなみに時田の言っていた1千万というのはブリーダーへの報酬と研究に必要なゆっくりの代金である。 そして半年後、偶発的な突然変異による一匹のみではあるが研究は成功する。 さなえやさくやなどの人気のあるゆっくりの愛される要素を凝縮させた個体。 純粋無垢でけしてゲス化せず、愛くるしいしぐさで人々を魅了するゆっくり。 通称「愛されいむ」の誕生だった。 愛されいむは全ての人間に愛された。 ゆっくりランにいけば、たちまち人だかりができ、全ての人間がれいむを賞賛した。 ゆっくりたちの間でも人気者で、つがいになってほしいと言われた回数は100を超える。(溺愛する男が全て断ったが) TVに出てくれと言われて出演すれば「ゆっくりしていってね」の挨拶しかしていないのに、他に出演していたどの希少種達をさしおいてぶっちぎりの一番人気だった。 愛されいむは「ゆっくりしていってね」しか言えなかったのではない。 「ゆっくりしていってね」だけで十分なのだ。 それだけで全ての人を虜にできるのだから。 そんなれいむを男はいたくかわいがり、セレブゆっくりの証であるダイヤモンドバッジを与えた。そして会長職を辞任し、れいむと共に悠々自適な老後を楽しむことにしたのだ。 しかしれいむは行方不明になってしまう。 男は必死になって探した。自分で、使用人を使って、時には探偵を雇って。 そんな中やっと掴めたれいむの所在。男は病院へと急いだ。 しかし居たのはまったくの別ゆっくりだった。 男にはわかってしまうのだ。れいむをずっと見ていたのだから。 所詮どれほどうまく演じようともゲスはゲス。愛されいむの可愛らしさには似ても似つかぬものだったのだ。 おそらく成りすますのが普通のゆっくりならうまくいっていたのだろう。ゆっくりの顔など人間には同じに見えるのだから。 だが残念ながらのーぶるれいむが成りすまそうとした相手は世界でただ1匹しかいない愛されいむだったのだ。 その違いは男の飼っているゆっくりさくや達も違和感を感じるほどのものだ。男が間違えるはずもない。 男があの時、涙を流したのはのーぶるれいむの策にだまされた訳ではない。 飼いゆっくりにとって命同然のりぼんとバッジをこのれいむがしている以上、もはや愛されいむの生存は絶望的だと悟ったからだ。 男はその場でのーぶるれいむを叩き潰してやりたかったがぐっと堪えた。 自分の愛するれいむに成り代わろうとするこの偽者にはもっと悲惨な目に合わせなければ気がすまない。 そう思ったからである。 「ゆゆっ、むししないでね。ぷんぷん。」 れいむの声にはっとなる男。どうやらずっと考え込んでいたせいでれいむが話しかけているのに気づかなかったようだ。 「やくそくどおりれいむをかってね。あんなれいむよりれいむのほうがいいでしょ。だってれいむは・・・」 延々とのーぶるれいむの自慢話が続いていたが男には聞こえていなかった。 あんなれいむ・・・だと。 愛されいむは男にとって理想のゆっくりだった。愛されいむを馬鹿にすることは男の生涯を馬鹿にすることに等しい。 猿芝居と浅知恵しか能のない腐れ饅頭が私のれいむをあんな、だと。 男の怒りはすでに沸点を超えていた。 「ああ勿論だとも・・・約束は守ろう。」 そう言いながら笑顔でれいむに近づく。 その表情は笑顔でありながらどこか薄ら寒い恐怖を感じさせるものだった。 「ああ勿論だとも・・・約束は守ろう。」 この言葉にれいむは色めき立った。 やった。当初の計画とは違ったがついにセレブ飼いゆっくりになれたのだ。 しかもあの無能なれいむとしてではなく、のーぶるれいむとして。 あのじじい、いろいろ言っていたが結局あのクソれいむよりのーぶるゆっくりである自分を選んだのだ。 この理想のゆっくりプレイスで好きなだけあまあまを食べ、あの美ゆっくりたちとすっきりーをしてたくさんの子供を作ろう。 そしてその子供達にのーぶるゆっくりとして英才教育を施し、ここをのーぶるれいむの王国にするのだ。 愚民たちめ。支配してやるぞ。のーぶるれいむ様の英知の前にひれ伏すがいい。 ゆっくり特有の願望と誇大妄想のいりまじった思索にふけるれいむ。 だから気づかなかった。男の怒りに。そして男が右手に持っているものに。 ちくっ。 「ゆゆっ、何を・・・ゆっ!?」 何か尖ったものを刺されて急に身体が動かなくなったれいむ。にやけ面のまま固まってしまった。 それもそのはず男の持っていたのは注射器。中に入っていたのはゆっくりを半永久的に動けなくするゆっくり餡凝固剤である。 餡子そのものが固まるので声すらももうれいむは出せない。 「約束は守るぞ。クソ饅頭。この部屋に置いてやるよ。一生な。」 (ゆゆっ・・うごけな・・・い・・・) 急激に餡子が固まったショックでれいむはそのまま気絶してしまった。 れいむが動けなくなったのを確認して男は部屋を出る。 「旦那さま・・・」 心配して扉の外に待機していた時田が話しかける。 「時田、聞いての通りだ。すぐにれいむを殺したれてぃを探し出し、駆除するようゆっくりギルドへ連絡しろ。武勇のハンター鬼意山を雇うのだ。金はいくらかかっても構わん。」 「はっ。かしこまりました。」 「私は少し疲れた。一人にしてくれ。」 「旦那さま・・・」 そう言い残し自室へとぼとぼと向かう男を時田は心配そうに見送った。 のーぶるれいむが目覚めたのは次の日の昼過ぎだった。 なぜかあのまま寝入ってしまった。記念すべきのーぶるれいむ様のセレブデビューの日に。 そう思いながらもみあげで目をこする。どうやら注射されたことは忘れたらしい。 まあいい。時間はたっぷりある。今日はとりあえずあの美ゆっくりたちのもとに挨拶へいってやろう。 あの無能なれいむに代わり自分があのゆっくり達を支配してやるのだ。 きっとあのゆっくり達もあんなクズから偉大なのーぶるれいむ様が支配してやることに泣いて喜ぶだろう。 そう思い扉のほうへ跳ねようとしたが・・・動けなかった。 それどころか昨日のにやけ顔から表情を変えることもできない。動くのは、もみあげだけだ。大声をあげたいがそれもできない。 どういうことだ?何がおきている!?このれいむ様に!!? れいむが混乱しているとドアの開く音がした。男が来たようだ。 どういうことだじじい!!このれいむ様に何をした!! そう言おうとした所(言えないが)目が点になった。 男は足元にゆっくりを連れていた。そしてそのゆっくりは昨日のさくや達の誰でもなかった。 クズめーりんだ。しかも昨日車の窓から道路で見たあのクズ親子。 どうしてあの薄汚い虫けらどもが偉大なるれいむ様の聖域に? なぜこんな事になったのか。話は数時間前にさかのぼる。 男は歩いていた。朝の町並みを。ただ一人で。 自室にこもっていても気が滅入るばかりなので散歩へ出たのだ。 しかし失敗だった。 この道は愛されいむと共に歩いた散歩道。いやでもれいむのことを思い出し、悲しみがこみ上げてくる。 「うぅ・・・れいむ・・・」 思わず涙声でその名をつぶやく男。だがもう男のれいむはこの世に居ないのだ。 そう悲嘆にくれている男の耳に悲鳴のようなものが聞こえた。 どうやら悲鳴は近くの路地裏から聞こえてくるようだ。なんだろうと覗き込んで見る。 それはゆっくり同士の喧嘩だった。正確には喧嘩というより集団リンチだったが。 数匹のゲスまりさとでいぶが因縁をつけめーりんを痛めつけているのだ。どう考えてもめーりんに勝ち目はない。 「クズめーりんがいるせいで、まりさたちがじじいたちからあまあまもらえないんだぜ!!」 「れいむたちがにんげんさんにけられたのもめーりんがしくんだんことでしょ!!」 「クズのぶんざいでなまいきなんだぜ!!」 ちなみにこのまりさとれいむ達は通行人に物乞いをして生計を立てるゆっくりだったが 「おらおらじじいども。まりささまはつよいんんだぜ。とっととあまあまよこすのぜ。」 「れいむはしんぐるまざーなんだよ。かわいそうなんだよ。だからさっさとあまあまちょうだいね。そんなこともわからないの!? ばかなの!?しぬの!?さんびょういないでちょうだいね。ぐずはきらいだよ。」 などと喧嘩を売っているとしか思えないことを言うゲス達のため、良くて無視、悪いと思いっきり蹴飛ばされていたのだ。 そしてその憂さをおとなしくて人間に人気のあるめーりんへと向けた。めーりんは人気もあり性格もいい為、何もしなくても通行人に餌をもらえていたのだ。 自分より下のはずのクズめーりんがなぜ・・・きっと裏で何かしているに違いない。だから自分達には餌がもらえないのだ!! そんな嫉妬と差別心、更には被害妄想が入り混じり今回の凶行に及んだわけである。 100%純粋な、ここまで来ると気持ちいい位のゲスっぷりである。 男はそのまま立ち去るつもりだった。ゆっくり同士のいさかいに首を突っ込んでる気分ではなかったから。 立ち去るつもりだったが・・・いつの間にかゲスたちを潰しめーりんを助けていた。 その後、傷ついた親めーりんと子めーりん2匹を屋敷につれて帰り、ゆっくり医を呼んで手当てさせる。幸い体当たりによる軽い打撲だけで済み、それもオレンジジュースをかけるとすぐに治った。 そしてメイドに命じて体の汚れを落としてみるとなかなかの美ゆっくり。それにどことなく愛されいむに雰囲気が似ている気がする。 男はめーりん親子を飼うことにした。これも何かの縁だと思って。 以上のような経緯があったのだが当然のーぶるれいむは知るはずもない。 「さあ、めーりん。ここがお前達の部屋だ。好きに使っていいんだよ。」 その男の声に子めーりん2匹が遊具へと跳ねていく。始めて見る遊具に興味しんしんなのだ。その後から親めーりんがついていく。 れいむにとってめーりんは害虫でしかない。当然排除しようとする。 (そこのくずめーりんたち!!とっととでていってね!!ここはおまえたちみたいなくずのはいれるばしょじゃないんだよ!!) れいむとしては大声を出してるつもりだが、人間にとって喉にあたる場所も昨日の薬剤で固まっているため声を出せない。 だから当然無視される。子めーりん達は遊具で遊び始め、親めーりんはその様子を見守っている。 (うがぁぁぁぁあ!!むじずるなぁああ!!くずどもぉぉぉぉ!!) 叫ぶれいむだが当然聞こえていない。実力行使でめーりんたちを排除しようにも体が動かないのでどうしようもない。 そんななか子めーりんたちが遊具で遊ぶのをやめ、れいむのほうへ近づいてきた。 れいむの内なる声が聞こえたのではない。もっと面白そうなものに気づいたからだ。 子めーりん達の見つけた面白そうなもの。それはピコピコ動くれいむのもみあげだ。どうやらもみあげ以外動かないれいむをそういうぬいぐるみと勘違いしたようだ。 冗談じゃない。こんなクズどもに触れられたら体が穢れる。 そう思うれいむだったが動けず、声も出せないのではどうしようもない。 なすがまま、されるがままにされるしかなかった。 その日のうちに愛されいむの死と代わりにめーりん親子が飼われることが館のゆっくりたちに知らされた。 最初は泣き崩れていたゆっくり達だったが、 「いつまでもないてはいられませんわ。きょうからめーりんさんたちがおじょうさまですわ。」 とさくやが言うとみんなそれに賛成してくれた。めーりん親子ははれてこの館へ迎えられたのだ。 その様子をれいむは歯軋りしながら見ているしかなかった。 それから毎日れいむは地獄だった。 ある時は子めーりんたちにトランポリン代わりにされ、顔じゅうあざだらけになった。 ある時は噛み癖のあるもみじにあたまをガジガジと齧られ、自慢だった髪を半分以上引き抜かれた。 ある時はちぇんにサッカーボール代わりにされて壁に激突した衝撃で目玉が1つ飛び出た。 もはや見る影もなく落ち武者のような姿のれいむ。 そんなれいむを見て、さなえとさくやは「ゆっくりできないぬいぐるみ」と汚いものを見るような目で見られる毎日。 れいむはのーぶるゆっくりなのに。本来、畏怖と尊敬の念で見られるべきなのに。 れいむは人知れず涙を流した。 そんなある日、のーぶるれいむは自分の目を疑う。 男と共にドアを開けて入ってきたのは・・・なんと研究お兄さんだった。 研究所で自分の世話をしてくれたあのお兄さんなら助けてくれるに違いない。 なぜなら自分はのーぶるゆっくりなのだから。 その研究お兄さんに捨てられたからここに居るのだということをすっかり忘れているようだ。すさまじい餡子脳である。 (ゆゆっ、おにいさん!!のーぶるれいむだよ!!はやくたすけてね!!) 当然無視される。そもそも研究お兄さんがここに来た理由はのーぶるれいむなどではないからだ。 「それじゃここに設置ということでよろしいですね?」 「ああ。完成までどれぐらいかかるかね?」 「1時間もあれば十分です。」 そう言い研究お兄さんはなにやらその場で組み上げ始めた。 1時間後。 「ふう。できた。」 研究お兄さんが組み上げたのはゆっくりハウスだった。 大きな門。「こーまかん」と書かれたゆっくりが数匹休めるスペースの屋敷。小さな造花の花壇。 ゆっくりハウス(こーまかん、門番めーりん仕様)。男からめーりん親子へのプレゼントだ。 実は研究お兄さんの働いてる店の店長と男はゆっくりハンター仲間なのだ。(なお男は中級、店長は上級ライセンスを持っている) だからそのよしみで男は研究お兄さんと会うことも多く、今日も男が店で購入したこのゆっくりハウスを配達しにきただけなのだ。 「じゃあ僕はもう店に戻りますので。」 「ああごくろうさん。店長によろしく。」 まずい。 れいむは焦った。お兄さんが帰ってしまったらもう誰も助けてくれない。 このままこの地獄でゆん生を終えることになる。それだけはいやだ。 もはやれいむにのーぶるゆっくりとしての選民思想など残っていなかった。 (おにいさんおねがいじまずうぅぅぅぅっ゛!!!でいぶをだずげでぐだざいぃぃぃぃぃ!!!) プライドも見栄もなくそう叫ぶ。声にならなくても思いは届く。そう信じて。 (でいぶわるいこでしたぁぁぁぁぁ!!かみさまにえらばれたゆっくりなんてちょーしこいてまじだー!!) (いいこに・・・いいこになでぃますからぁぁぁああ!!でいぶをみすでないでぇぇぇ!!) 正に捨て身の懇願。その時奇跡が起きた。 のーぶるれいむと研究お兄さんの目があったのだ。 やったこれで助かる。そう喜んだれいむだったが。 現実は非情だった。 「汚いぬいぐるみだな。」 汚物を見るような目で一瞥し、ぼそっとつぶやく研究お兄さん。 のーぶるれいむの最後の希望、そして最後のプライドが粉々になった瞬間だった。 その夜れいむは寝付けなかった。 結局お兄さんはれいむを助けてくれなかった。それどころかのーぶるれいむだと解らなかった。 もう自分には何の希望もない。 「・・・どうしてころしたの?」 不意に誰かがつぶやいた。誰も居ないはずなのに。 誰だ?どこにいるんだ?怯えるれいむ。 「どうしてママをころしたの・・・・おちびちゃん・・・」 姿を見せた声の主にれいむは恐怖した。 それはのーぶるれいむの母親だった。全身から餡子をふきだしながら苦悶の表情を浮かべれいむへ近づいてくる。 そんな・・・死んだはずだ。自分の母親は・・・。自分が確かに殺したはず・・・。 「れいむ・・・どうしてちぇんをころしたの・・・わからないよ・・・」 「こんなの・・・とかいはじゃないわぁ・・・」 「すごく・・・すごくいたかったんだぜぇぇぇ・・」 母れいむの後ろから出てきたゆっくりに更に驚愕するれいむ。 それはれいむが研究所で殺したゆっくりたちだった。みな全身餡子やクリームまみれでまるでゾンビのような姿だ。 ある者は足し算ができなかったから。 ある者はかけっこが他のゆっくりより遅かったから。 ある者はのーぶるれいむに口答えしたから。 そんな些細で理不尽な理由でみんな殺してきたのだ。クズを排除できるのはのーぶるゆっくりの特権、そして使命であると信じて。 「むぎゅぅぅぅ・・・・どうしてぱちゅにあんなことしたの・・・ひどいわぁぁぁぁ」 「れいむは・・・とんでもないくされゲスだみよぉぉぉぉぉぉん」 どんどんゾンビのようなゆっくりは多くなる。新しく現れた者達は野良時代にれいむが殺したゆっくりだった。 ある者はえさを横取りする為に。ある者は住処を奪い取る為に。ひどい時など憂さ晴らしの為にその命を奪った。 (どうじでいきてるのぉぉぉぉぉぉぉ!!!みんなしんだはずでしょぉぉぉぉぉぉぉ!!!) 声なき声でれいむは叫ぶ。発狂しそうな恐怖に震えながら。 「ゲスれいむにふくしゅうするためじごくからまいもどってきたんだぜぇぇぇぇぇ」 「いなかもののれいむにはてんちゅうをくだすわぁぁぁぁぁ」 「ゲスはせいさいなんだよぉぉぉぉぉぉ。わかってねぇぇぇぇぇぇ」 口々に恨み言を漏らすゾンビゆっくり達。 もちろんこのゆっくり達はれいむに殺されたゆっくりが生き返ったわけではなく、悪霊というわけでもない。 これは幻覚。れいむの罪悪感が見せたまぼろしなのだ。 今までれいむは仲間であるゆっくりを殺すのに何の罪悪感も感じなかった。自分は神に選ばれしのーぶるゆっくり。他の平凡なゆっくり達の生殺与奪の権利は自分にある。そう考えていたからだ。 しかしれいむは認めてしまった。自分は神になど選ばれていないただのゆっくりにすぎないと。 その結果、潜在意識にあった罪悪感が一気に幻覚という形で表に出たのだ。 (ゆうううううぅぅぅぅうううう!!!だれかたずげでえぇぇぇぇぇぇぇ!!) 恥も外聞もなくしーしーを垂れ流しながら助けを求めるれいむ。動けないれいむにはそれしかできない。(正確には声が出ないのだからそれもできていないのだが。) しかし誰も助けには来ない。例え来ても助けることはできない。 なぜならこれはのーぶるれいむの罪そのもの。けして逃げることはできないのだ。 (ゆんぎゃあああああぁぁぁあああああ!!!」) れいむの声にならない叫びが館に木霊した。 男は窓からゆっくり達を見ていた。男の部屋は2階にあり、庭で遊ぶゆっくり達を見るのには特等席である。 暖かな日差しの中、ゆっくり達は皆一様に楽しそうに遊んでいる。その様子を目を細めて男は眺める。 男は思う。 愛されいむは自分の産み出したゆっくりの中でも最高傑作だ。今でも愛している。それはこれからも変わらないだろう。 だが同時に思い出す。初めてめーりんに会った時のことを。 あの時めーりんのそばには子ゆっくりたちが居た。 めーりんは2匹の子供を守っていたのだ。子供達に覆いかぶさるように自分の体を盾にし、ゲス達の攻撃を一身に受けて。 恐怖でブルブルと震える子供達にめーりんは子供達に向かって微笑んでいた。 おちびちゃん達は自分が必ず守る。だから心配しないで。そう言わんばかりに。 ゲス達によるリンチに苦しんでいたはずなのに。そんなめーりんだからこそ男は思わず助けてしまったのだ。 彼女もまたれいむと同じ愛される、いや愛すべきゆっくりだと思って。 穢れを、悪意を知らぬゆえに悪意によってその命を散らせた愛されいむ。 その身を挺して悪意から自分の愛するものを守ろうとしためーりん。 どちらが真のゆっくりと言えるのだろう。いや答えなど存在しないか。 願わくばあのゆっくりたちの笑顔がいつまでもかげらんことを。 そう思いつつ男は部屋を出た。 愛するゆっくりたちのもとへ向かうために。 今日の希少種 愛されいむ 希少度 不明 愛されることを目的に品種改良されたゆっくり。純粋無垢でゲス化することもない愛玩動物としては理想のゆっくりだが、虐待緒お兄さんやゲス、捕食種には効果がないので注意。ありとあらゆる生物に愛される完全体の愛されゆっくりもいるらしいが真相は定かではない。 補足説明 ゆっくりハンター ゆっくり局の監督するゆっくり関係の仕事をする者の総称で全国に数千人いる。主な仕事はゲスの駆除、捕獲、希少ゆっくりや虐待ゆっくりの保護など。ハンターはクラスによって希少ゆっくりの売買などの権利を得るので、ゆっくりショップの店員はこのライセンスを持っていることも多い。 階級としては初級ハンター、中級ハンター、上級ハンターとあり、その上のクラスがハンター鬼意山である。ハンター鬼意山には二つ名が与えられ「○○のハンター鬼意山」と名乗ることが許されるが、その資格を持っているのは日本で十人ほどしかいない。 あとがき 解答は 「セレブれいむは愛されいむと言う人間に愛されることに特化した品種改良種。人間、特に飼い主がみればゲスのれいむがどう演技しても一目瞭然だから。」でした。 すいません。こんな「わかるか、ボケ!!!」と言いたくなるようなひどい作品で。その上難易度上げすぎて出題編2を作るようなグダグダっぷり。本当に申し訳ありません。次回作こそこのようなことのないようがんばりますので。 ちなみに愛されいむを思いついたきっかけは、コードギアスR2、15話にでてくるCCが昔持っていた「愛されるギアス」です。 なお書き始めた当初は原種ゆっくりが正解だったので出題編1で原種ゆっくりと書いた人は全員正解あつかいとします。その上で一番今回書きやすかったコメントナンバー1254013508 さんのリクエスト「研究お兄さんとの再会」を今回書かせていただきました。たくさんのコメントありがとうございます。他の方のリクエストもいずれ書く予定なので気長にお待ちください。 PS 店員お兄さんの名前は研究お兄さんに戻しました。そのほうがしっくりくるので。 今まで書いた作品 ふたば系ゆっくりいじめ 176 ゆっくりちるのの生態(前編) ふたば系ゆっくりいじめ 185 選ばれしゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 196 新種ゆっくり誕生秘話 選ばれしゆっくり番外編 ふたば系ゆっくりいじめ 208 ゆっくり見ていってね ふたば系ゆっくりいじめ 218 またにてゐ う詐欺師てゐの日々 ふたば系ゆっくりいじめ 227 VS最強のゆっくり 史上最低の戦い ふたば系ゆっくりいじめ 247 夢と現実のはざまで ふたば系ゆっくりいじめ 264 あるまりさの一生 ふたば系ゆっくりいじめ 298 ゆっくりを拾ってきた ふたば系ゆっくりいじめ 336 ゆっくり Change the World(出題編) ふたば系ゆっくりいじめ 357 ゆっくり Change the World(出題編2) 長月の作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る いつもれいむは被害者…か…… -- 2014-01-25 00 24 02 ↓×5説明位ちゃんと読めよ… -- 2013-12-10 16 08 10 解答とか内容がこれだとどうでも良いな、とりあえずめーりん親子が幸せになったから良かった -- 2013-01-18 10 20 36 愛されいむ…どこからそのキーワードを引っ張り出せと… -- 2011-04-12 20 34 45 難易度が馬鹿だろwww 分かるわけねえwww -- 2011-01-30 19 23 10 出題編、解答編に分けなければまだ普通のSSとして読めたのに… 出題編になんのヒントも無いから作者の妄想とシンクロできる人以外解答不能 作者さんには有名なこの言葉を送ります。 「お前がそう思うんならそうなんだろう お前ん中ではな」 -- 2010-10-25 23 34 14 うん!酷い解答だww 酷いにも程があるww 難易度が高いとかそういう問題じゃないなww なんでもありですねww 別にのーぶるれいむは致命的なミスをおかしてないし だいたい愛されいむってどうやって愛されんの? れてぃは愛されいむを愛さなかったの?定義がわからん まあ俺はれいむってだけでぶっ潰したくなるから 愛されいむという存在自体を否定するけどねw -- 2010-09-23 02 59 56 愛されいむか・・・ちゃんと出ていないせいか存在が微妙。 -- 2010-08-13 01 57 12 れてぃ殺すのはもったいない。 -- 2010-07-19 06 31 11
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/837.html
「ふたば系ゆっくりいじめ 391 ゆっくり Change the World(解答編)/コメントログ」 れてぃ殺すのはもったいない。 -- 2010-07-19 06 31 11 愛されいむか・・・ちゃんと出ていないせいか存在が微妙。 -- 2010-08-13 01 57 12 うん!酷い解答だww 酷いにも程があるww 難易度が高いとかそういう問題じゃないなww なんでもありですねww 別にのーぶるれいむは致命的なミスをおかしてないし だいたい愛されいむってどうやって愛されんの? れてぃは愛されいむを愛さなかったの?定義がわからん まあ俺はれいむってだけでぶっ潰したくなるから 愛されいむという存在自体を否定するけどねw -- 2010-09-23 02 59 56 出題編、解答編に分けなければまだ普通のSSとして読めたのに… 出題編になんのヒントも無いから作者の妄想とシンクロできる人以外解答不能 作者さんには有名なこの言葉を送ります。 「お前がそう思うんならそうなんだろう お前ん中ではな」 -- 2010-10-25 23 34 14 難易度が馬鹿だろwww 分かるわけねえwww -- 2011-01-30 19 23 10 愛されいむ…どこからそのキーワードを引っ張り出せと… -- 2011-04-12 20 34 45 解答とか内容がこれだとどうでも良いな、とりあえずめーりん親子が幸せになったから良かった -- 2013-01-18 10 20 36 ↓×5説明位ちゃんと読めよ… -- 2013-12-10 16 08 10 いつもれいむは被害者…か…… -- 2014-01-25 00 24 02
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3748.html
『君の笑顔』 7KB 愛で 小ネタ 愛護人間 希少種愛でが嫌いな方はご遠慮ください リハビリ3作目 それはある日の会社帰りの事だった いつも寄り道なぞ殆どする事のないはずの娘が、その日に限って何故か公園で待っていると携帯にメールしてきた。 その公園に行くと何故か泣きそうな顔の娘と、その手に抱かれた1匹のゆっくり。 これがめーりんとの出会いだった・・・・ 『君の笑顔』 「パパ!この子死にそうなの!怪我しているの!お願いだからなんとかして!」 私は普段無口で、内向的な娘が感情を露にした事に驚く。 聞けば学校帰りに小さな鳴声が聞こえたので、公園に立寄りこのめーりんを見つけたとの事。 見つけた時には既に怪我していて、かなり衰弱していたようである。 「わかった!とりあえずうちに連れて帰るぞ!」 「うん!」 私はめーりんを連れて帰り治療する事にした。 ゆっくりの治療はした事はあったがめーりん種は初めて、通常種と同様の治療をしていいのかよく分からなかったがとりあえずオレンジジュースを飲ませてみる。 「ほらオレンジジュースだよ、パパ本当にこんなのが効くの?」 娘はゆっくりについて良く知らないらしく、オレンジジュースで怪我が回復するという事が信じられない様子。 実際の所は私も半信半疑なのだが、前に私に助けを求めにきた野良ゆっくりがオレンジジュースで怪我を回復させたので信じるしかない。 「ああ大丈夫だよ、安心して飲ませてあげなさい。」 私の言葉に安心したのか、娘はめーりんの前にオレンジジュースを入れた皿を差し出す。 しかしめーりんは一向に飲もうとはしなかった。 「あれ?パパこの子飲んでくれないよ?」 怪我の原因が人間にあり、人間不信に陥ってしまっているのかもしれない。 こちらを横目で伺いながら震えているめーりんを見てふとそう思った。 しかしこのままではめーりんの命に係わるだろう。 「指先をオレンジジュースで濡らして、めーりんが舐めるまでそっと差し出してみなさい。」 「え?う・・うん」 私に促されて娘は皿に指を浸けると、めーりんの前にそっと差し出す。 顔を背け舐めようとしないめーりんだったが娘も粘った、30分程してこの根競べはめーりんが折れる。 「パパ~めーりんがジュースを飲んでるよ~」 「かなみの気持ちが通じたんだな、頑張ったな偉いぞ。」 「うん」 喜ぶ娘の頭をそっと撫ぜてやる。 正直、私がやっていたらめーりんは絶対に飲まなかったであろう。 娘の純粋に、めーりんを助けたいと思う気持ちが通じたのだと信じたい。 そして娘のその笑顔は、めったに見れない程に嬉しそうであった。 「めーりんご飯だよ」 「じゃお~~ん♪」 あれから1週間たった。 めーりんの怪我もすっかり回復し、人間不信も解消されたのかすっかり娘に懐いている。 友達の少ない娘は学校が終わるとすぐに帰宅して、めーりんと過ごすのを楽しみにするようになった。 庭でめーりんと遊ぶ姿からは、部屋に閉じこもり本ばかり読んでいた姿は信じられない。 「めーりん寝るよ~」 「じゃおお~~ん」 娘の後ろをついてまわる姿はさながら妹のよう、娘も姉にでもなったような気分を味わっているのであろう。 主張が苦手だったのが、妹を守る意識が芽生えたのか改善の様子が見られる。 「きゃ~めーりんかわいい~~~~~~」 「あはははは、じゃお~んだっても~超~~可愛いんだけど~~~」 しばらくすると娘と同じように、ゆっくり飼っている同級生が遊びに来るようになった。 今まで友人なんてものを連れてきた事が、これまで1度も無かったので正直感動物である。 これもめーりんのおかげだと思う。 だがそんなめーりんとも別れは突然やってきた・・・・・ 「パパ・・・・めーりんが・・・めーりんが元気がないの・・・・」 朝起きた時にはぐったりしていて、いくら呼んでも反応が無かったのだと言う。 まさかとは思ったが、私はめーりんを持ち上げて腹を見て絶句した。 そこにあったのは小さな黒い斑点。 「どうしたのパパ?めーりんどうしちゃたのかな?」 「いや・・・なんでもないよ今日は調子が悪いだけさ、めーりんはパパが病院に連れていくから気にしないで学校いっといで。」 「うん・・・わかった・・・じゃあパパめーりん行ってくるね。」 咄嗟に誤魔化したがこの斑点は間違いなく黴である。 身体は毎日洗っていたのだから表面に出来る事はない、これは内部から侵食されていたのであろう。 ゆっくりとって黴は致命傷、それも表面ならまだしも内部だと絶望的。 それでも娘の笑顔を思い出すと、とてもではないが言える訳が無い。 私は会社を休み、駄目だとは思いつつもめーりんを病院へと連れて行った。 「どうですか先生・・・」 「これは大分侵食されてますね・・・・手の施しようがありません・・・」 「何とかなりませんか?この子のおかげでやっと娘が元気なったんですよ!」 「・・・・・・・・・残念ながら」 私が医者に何度食い下がろうと、めーりんを治す方法は無かった。 めーりんと初めて出会った公園のベンチに座り、私はただただ呆然とする。 帰って娘に何と言えばいいのだろう?きっと泣きじゃくるに決まっている。 見上げる空の蒼さが私の心を掻き乱す。 「おかえりパパ~・・・・・どうしたの?」 「あ・・・いや・・・・」 「!」 夕刻になって途方に暮れながらも帰宅すると、玄関前で娘が待っていた。 私の表情から何かを察したのか、そのまま部屋に閉じこもってしまう。 医者に言われためーりんの余命は長くてあと3日程・・・・ 娘はそれからは、めーりんに関わろうとはしなくなりまた部屋に閉じ篭るようになった。 「めーりん苦しいか?そうだよな~何もしてやれなくてごめんな・・・・」 「じゃ・・じゃお・・・」 私はめーりんを膝の上に乗せて娘の笑顔を思いだす。 あの子がこんなに明るくなったのは、間違いなくめーりんのおかげである。 このままではいけないと、私はめーりんを抱きかかえ娘の部屋の前に立つ。 「かなみ?いるんだろ?めーりんが寂しがってるぞ?」 「いやなの・・・もういやなの・・・」 「かなみはめーりんが嫌いになっちゃのかい?」 「・・・・・・・大好き。」 「じゃあちゃんと見てあげないと、めーりんはかなみに嫌われたと思って悲しいままいかなくちゃいけなくなるよ?」 「・・・・パパ・・・・本当にめーりんもぅ駄目なの?」 「・・・・・・・・・。」 30秒の沈黙がこれほど重苦しく感じた事は無い、程なくして娘は部屋から出てきた。 今夜は寝ないで、2人でめーりんを看ようと言うと娘は黙って頷く。 めーりんを膝に抱え思い出話をする。 その間もめーりんは苦しそうだった、何もしてやれない無力感が悔しい。 「じゃ・・じゃ・・・・じゃお・・じゃおおおおお」 やがてめーりんに変化が現れだす。 いよいよその時が来てしまったのかと覚悟を決める私と娘。 しかしその思いは刹那に歓喜に変わる。 「ちゃお・・・ちゃお・・・・」 「え?こ・・・これは?」 「赤ちゃんだ!めーりんの赤ちゃんだ!」 めーりんのまむまむから小さな小さな赤ゆが1匹だけ生まれてきたのだ。 どうやらめーりんは妊娠していたようである。 通常ならば動物型妊娠でも1~2週間で生まれるのだが、怪我をしていためーりんは赤ゆに栄養を上手く送る事が出来ずに発育が遅れていたようだ。 その後めーりんは我子を確認すると眠るように息を引取った。 残された私は娘は悲しむ間も与えられず、未熟児として生まれためーりんの忘れ形見を死なせないように必死になる。 「先生開けてくれえええええ!今すぐじゃないと駄目だんだあああああ!!!」 「お願いせんせ~~~めーりんの赤ちゃんが死んじゃう~~~~」 早朝から病院に駆け込み医者を叩き起こし赤ゆを保育器に入れてもらった。 無茶な御願に対応してくれた医者には、本当に感謝の思いが絶えない。 あと僅かにでも遅ければ、めーりんの子供は死んでいたかもしれない。 幸いにも赤ゆにまでは、黴の脅威は及んでいなかったらしく助かった。 「パパ・・・・」 「ん?」 「この子はめーりんの生まれ変わりだよね?」 「そうだな・・・めーりんはどうしてもかなみの事が心配だんだろうな。」 「うん・・・・」 「でもこの子を飼うとまた、同じ悲しい思いをする日が来るけど大丈夫か?」 この問いかけに娘は私の目を見ながら大きく頷いてみせる。 命の尊さを学んだ娘は、めーりんのおかげでまた1つ成長を遂げる事が出来た。 この子も大事にしてあげなければいけないなと堅く心に誓うのであった。 おわり
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1888.html
※ゆっくりめーりんの設定はゆっくりいじめ系352 虐められるゆっくりの人の設定をお借りしています。 勝手にお借りして申し訳ありません。 今日もゆっくり達は、仲良くゆっくりめーりんを虐めていた。 「ゆっくりしないで! はやくご飯をとってきてよ!」 「ごはんとってこれないめーりんは本当にやくただずだよ! もうあいてにしないよ!」 「あなたってほんとうにさいていのくずね! とかい派のありすがいなか臭いあなたにずっとつきあってあげてるんだから早くごはんをもってきて!」 それぞれが好き放題に叫びながら飛び跳ね、めーりんを押し潰そうとしていた。 皮が丈夫なめーりんは決して潰れたりはしないが、四方八方から攻められ、体は激しく痛みを訴えている。 普通なら悲鳴を上げそうなところだが、ゆっくりでも珍しく喋れないめーりんはただみんなから一方的に攻められ続けた。 暴行が行われている草むらの片隅では、ゆっくりぱちゅりーが器用にページをめくりながら本を読んでいる。一度も、目を逸らすことはない。 普段通りの光景に、目を奪われる理由がなかった。 「はやく探してきてね!」 「みつかるまで戻ってこないでね!」 2匹掛かりで突き押され、めーりんは大きく吹き飛ばされる。 倒れためーりんに駆け寄るものはいない。そもそも暴行が終わればすぐに、ゆっくり達の中ではいないことになっている。 しばらく倒れたままだったが、ゆっくりと体を起こすと、めーりんはそのまま餌を探しに森へ入っていった。 目尻を下げ、終始、やせ我慢の笑みを浮かべていた。 樹の根本に多くの芋虫を見つけ、泣きそうな顔で口に咥えてゆっくり達の元へ持って行っためーりん。 もちろんめーりんに分けることなく、ゆっくり達は「むーしゃむーしゃ、しあわせー♪」と持ってきた芋虫を食べ尽くした。 ただ唯一、ありすだけは「とかい派にいもむしなんて、どうしてあなたはそんな最低なくずなの!」と罵りながら食べていた。 ご飯も食べ終わり上機嫌なゆっくり達に、めーりんは近寄っていく。ご飯を必死に探して疲れているめーりんだが、みんなと遊びたい気持ちが疲れた体を自然と動かす。 しかしゆっくり達にとって、めーりんは餌を手に入れたらもう用はなく、まるで汚いものを払うようにめーりんを追い遣った。 「きょうはどこでゆっくりする?」 「大きな木の下でみんなでゆっくりしよう!」 「むきゅー、本を読んでゆっくりする」 「わたしがみんなにとかい派のゆっくりの仕方をおしえてあげるわ!」 めーりんを放っておいて、ゆっくり達はみんな揃ってどこかへ行ってしまった。 空気が重くなる。 項垂れるように下を向いていためーりんだが、やがて顔を上げると、ゆっくり達とは反対方向へ進んでいく。 今日も、あそこへ行こう。 そう思いながら、元気に飛び跳ねていった。 大きな段差の目立つ道を、めーりんは飛び跳ね、たまに転がり落ちたりしながら進んでいく。 普通のゆっくりなら進めそうにない荒れ地も、頑丈なめーりんならどうにかなる。 そして最後の段差を飛び越えて森を抜けると、辺り一面に匂いを漂わせる花畑にたどり着いた。 何度も見ている風景だが、花好きのめーりんはいつも森を抜けた瞬間、目を輝かせて喜んでしまう。 「……」 森の方からやって来る赤い髪を見つけ、ゆっくりゆうかは思わずため息をついた。 ゆうかは、ゆっくりの中でも生まれつき植物を育てられる珍しい種族だ。 意図して歩けば土が耕せ、意図して念じれば口から種が出せる。 わざわざ狩りに行かなくても自給自足でき、その余裕がゆとりを産んだのか、育てている植物には愛でる為の植物まである変わり種だった。 そんなゆっくりゆうかだが、他のゆっくり達との仲は悪い、お互いに敵対している。 ゆうかは、見つけたらすぐに食料だと花畑や畑を荒らすゆっくりに憎悪を持ち。 ゆっくり達は、食料を独り占めしたがるゆうかに怒りを覚えていた。 せっかく育てた植物たちを一瞬で台無しにされては敵わず、ゆうかは森の奥や山奥に住んでいるものの、住処は巧妙に隠し、自身も危険を感じればすぐさま身を隠し、見つからないように注意していた。 そんなゆうかを、めーりんは数日前、餌を探している最中に偶然見つけていた。 油断したと、ゆうかは激しく後悔している。 ゆうかは近づいてくるめーりんを歓迎してやるつもりもなく、花畑の手入れを続けていく。 めーりんも慣れたもので、そんなゆうかの態度に微笑みながら、近くの樹にもたれかかった。 そこから見える4色のキャンバスが、めーりんの心をゆっくりさせてくれた。 後ろから感じる熱烈な視線に、ゆうかはげんなりしていた。 初めてここに来て以来、あの赤い髪のゆっくりはずっとここにやって来るが、そんなに暇なんだろうか? 初めに「他のゆっくりには話すな」と釘を刺しておいたが、それ以後も他のゆっくりはここには来ていないので、約束は守っているらしい。 1度も話した事がないため、ゆうかめーりんの真意が掴めないでいた。 手入れを終え、ゆうかは渋々めーりんへ近づいていく。 いつもは鬱陶しいので無視していたが、今日ぐらいは話をしてやろうか。そんな事を思いながら。 すると、めーりんは樹にもたれかかったまま眠っていた。 「……」 その幸せそうな顔に、ゆうかは怒る気も失せた。 めーりんの隣でゆうかも樹にもたれ掛かる。 「……」 そこから見える、花たちの喜んでいる姿。 心地よい風景に、寝てしまうのをどこか納得しながら、ゆうかはゆっくり過ごしていった。 ゆっくり達はゆっくりしながら話し合っていた。 内容は、最近のめーりんは虐めてもすぐに笑って気持ち悪い、なに? 死ぬの? という内容だった。 「あんなににこにこしてるなんて、ゆっくりできないよ!」 「それにえさを見つけてくるのがさいきんおくれてるよ! ゆっくりするなっておしえこまないと!」 「あんなさいていのクズがにこにこしているなんて、とかい派からみてもいじょうだわ! なにかりゆうがあるのよ!」 「むきゅ、ゆっくり原因をかいめいしましょう」 ゆっくり達のエサ探しも終わって、めーりんがいつも通りゆうかの花畑へ向かっていく。 今日のめーりんは、エサを探している時から終始ご機嫌だった。 一緒にいるゆっくり達に1度も虐められなかったのだ。 小さい頃、道ばたに1匹で泣いていためーりんを拾ってくれて以来、初めての事に、めーりんは人生でもっとも上機嫌になりながら、花畑へと向かっていった。 めーりんがまず目にしたのは、地面に横たわるゆうかの姿だった。 「むきゅー。ゆうかとつるんでいたなんてわからなかったわ」 「もうちょっとでゆっくりできなくなるところだったね!」 「あいつはほんとうにさいていのクズね! いなかものがいなかものと一緒にいるなんてさらにたちがわるいわ」 倒れているゆうかに、3匹はさらに攻撃を加えていく。 ゆちゅりーは後ろにいたうーパックに声をかけた。 「うー♪」 「むきゅ。運んでくれてありがとね。お礼にたくさん食べていっていいわよ」 「う~♪」 許可をもらって、うーパックはたくさんエサの見える花畑へ飛んでいく。 ゆうかの自慢の花畑は、今や何十匹というゆっくり達に荒らされていた。 「むーしゃむーしゃ、しあわせー♪」 「うめぇ! メッチャうめぇ!」 「うまい! もういっぽん!」 昨日まで元気に空へと伸びていた茎は、歯ごたえがいいとゆっくり達に噛み砕かれ、大きく開いていた花びらは甘いデザートと飲み込まれている。 愛でるなんて感情のないゆっくり達は、自分が先だと必死に口へ放り込んでいった。 めーりんがなぜにこにこしているのか原因を調べようとしたゆっくり達は、まずうーパックに、めーりんの後をつけるようにお願いした。 すると、ゆうかとめーりんが密会している事実が発覚する。 ゆうかがこの近くにいると知ったゆっくり達は、この近くにいた群れへその情報を売り、一緒になってゆうかの住処へと攻め込んだのだ。 元々捕食種なゆうかも抵抗したが、多勢に無勢。今や瀕死となって這いつくばっている。 ゆうかは後悔していた。 めーりんと勘違いして隠れなかった自分の迂闊さに、激しく後悔していた。 新たに感じた衝撃に、ゆうかの意識は途切れまぎれになる。 このまま殺されるのか……。 心が挫けかけたゆうかに、ふと森の出口で震えているめーりんの姿が映った。 突然こっちを見たゆうかに固まるめーりん。どうしたらいいのかわからない。 ゆうかはそんなめーりんを。 憎悪を込めた目で睨みつけた。 めーりんの心を罪悪感が蝕む。 ふと、そのまま動かないめーりんを見て、ゆうかは正気に返った。 話した事はないが、今まで何ども顔を合わせた仲だ。どういう性格かは、なんとなくわかっている。 一瞬、ここの場所をばらしたのかと思って睨み付けてしまったが、そんなことをするゆっくりじゃなかったと思い直した。 ゆうかは思う。 もしまたゆっくりできたら謝らないと……。 ……その時こそ、話せるかな。 「ゆっくりしね!」 頭上から聞こえた声と共に、ゆうかの体を激しい衝撃が襲う。 その一撃で、ゆうかの意識は遠のいていった。 「やったねまりさ! これでゆっくりできるね!」 「そうだねれいむ! いっしょにゆっくりしようね!」 「とかい派のありすもわすれちゃいやよ!」 喜び合う3匹。1匹だけ離れたゆちゅりーも笑顔で応える。 その様子が引き金となって、めーりんは飛び出していった。 「ゆ?」 飛び出してきたのがあのめーりんだと気づくと、ゆっくり達の雰囲気が一変した。 「……なに、あなた」 「……ちょうしにのってるなら、ゆっくりさせないよ」 睨まれても怖じ気づかず、めーりんはゆっくり達を見据える。 全力で、目の前のゆっくりまりさへ突撃した。 「うおっ!」 「まりさっ!?」 ゆっくり達の悲鳴が上がる。 「……っ!」 めーりんは生まれて以来、初めて浮かべた険しい形相で、ゆっくり達に立ち向かっていった。 「うーんしょ、うーんしょ……」 「むきゅー、むきゅー」 「ぱちゅりー、むりしなくてもだいじょうぶよ。ゆっくりすすんだらいいわ。とかい派はゆうがにこうどうするものよ!」 「ゆっくりがんばろうね!」 お互いに塞がった口でどうにか声を掛け合って進んでいく。 加えているのはゆっくりの角。 めーりんの厚い皮がどれぐらい伸びるかと思い、4匹は引き延ばし続けていた。 「……ッ!!」 めーりんの体が痙攣する。今までにない激痛に白目を向き始める。 「むきゅ、これぐらいがげんかいかも。けいれんしているわ」 「そうね! いなかもののさいていなクズじゃこれぐらいがせいいっぱいよね!」 「それじゃゆっくりうまくやろうね!」 体長が30センチほどだっためーりんが、凧型に2メートルほど伸びたところで、ゆっくり達は口を離し、戻らないように体で咥えていた先を踏んでおいた。 しばらくすれば、めーりんは2メートルの凧で固定され、二度と歩き回る事はできなくなるだろう。 めーりんを下敷きにして4匹がゆっくりしていると、うーパックがゆちゅりーのところへやって来た。 「うー♪」 「そう、こちらこそおつかれさま」 律儀に、別れの挨拶をしに来たらしい。 そのまま飛び去っていこうとしたうーパックに、ふと、ゆちゅりーは声をかけた。 「むきゅー、ごめんなさい。さいごのしごとをたのめるかしら」 「うー?」 うーパックに仕事の内容を伝える。 「うー♪」 了解したと返事をすると、うーパックはその場から飛び去り、しばらくしてまた戻ってきた。 「こっちこっち」 「うー♪」 ゆちゅりーに指示され、飛ぶ位置を変えていく。 指示通りの位置へたどり着いた事を確認すると、うーパックは中のものを落として飛び去っていった。 突然、響いた衝撃に意識を失いかけていためーりんの目が動く。 落ちてきたのは、ゆうかの死体だった。 「……っ!?」 「なかよしだったでしょ? あげるわ」 ゆちゅりーの声もめーりんの耳には入っていない。 歯を鳴らし、ただ置かれているゆうかの体に震えている。 めーりんの広がった皮へ、俯せになるようにゆうかは置かれている。 しかしその体が突然起き上がり、あの目で睨まれる姿がめーりんの脳裏に映っていた。 怖かった。 ゆうかの、憎悪の込められた目が怖かった。 恐怖の限界を超えためーりんは、完全に白目を向いて気を失う。 しかし、ゆうかのように死ぬことはない。 4匹にめーりんを連れて帰るつもりなどなかった、このままここへ放置していくつもりだ。 目が覚めれば動けないまま、めーりんの目の前にはゆうかの頭が待っているのだ。 めーりんはここで餓死するまで、恐怖に震える事だろう。 4匹の楽しげな声が辺りに響く。 まるで、ゆっくり出来ないめーりんを祝福しているようだった。 End ワンパターンという名のお約束展開。捻りのなさに俺が泣いた。 たぶん虐めた奴への報復虐待ネタは誰かが書くと思うので、あえてめーりん虐めで。 あの皮の破れないめーりんを限界まで引き延ばし、その上に親愛なゆっくりの死体を置いてやりたかった。 めーりんは、涙目が、可愛いな。 ゆっくりゆうかの設定は、151氏の不安定性突然変異?の設定を参考にさせてもらいました。 ありがとうございます。 なんだかあいつら生きててすっきり出来ないぞという人は、 別の人達が4匹に制裁する続きを書いてくれたのでそちらをどうぞ。 ゆっくりいじめ系368 ゆっくりメーリン 幽香×ゆっくり系7 ゆっくり後悔し続けてね! 幽香×ゆっくり系8 ゆっくりメーリン2 by 762 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/420.html
きずな⑤~過去~後半 ※直接な虐待・虐殺を直接描写するシーンはありませんが暗に示す描写が含まれます。ご注意ください。 また、赤めーりんの言葉が読み取り難い箇所が多々あります。 現実的な話になるが4匹の赤めーりんが自然界の中で生き抜くことは出来るのだろうか?それは果てしなく厳しく思える。 その理由の一つに、体の小ささと経験不足が挙げられる。 彼女達は生まれてまだ2週間程しか経っておらず、体長も10cmあるかないか程である。 加えて、今まで両親の世話で生活が成り立ってきた。当然狩など出来るはずもない。 もう一つの理由は…寧ろ、これこそが重要なのかもしれないが、言葉を操ることができないろいう事実だ。 めーりん種は言葉を解すことはできても話すことができない。 どんな生物社会にも、自分達よりも劣っていたり、異なる特徴を持つ者は排斥される。(言葉を話せないからといって=頭が悪いという訳ではないのだが) それはゆっくり達の社会においても同様だ。大抵の場合しゃべれない者=ゆっくりできない者としてはじかれてしまうのだ。(一部、それを受け入れるゆっくりも居るであろうが) この障害により他のゆっくりに頼ることは不可能となってしまう。つまり、あくまで自分達の力のみで生き抜かなければならないのだ。 さて、そろそろ4匹も泣き疲れ、涙も枯れてきたことだ。 ここで長女めーりんが覚悟を決めたように妹達に話しかける。 「JAOO…JAOOOOOO、JAOOO、JAOOO…JAOOOOOO…JAOOO、JAOOOOOOOO!」 (きっと…めーりんたちがちんだら、おとーしゃんも、おかーしゃんもかなちむよ…ゆっくり、みんなでちからをあちぇていきようね!) 両親は自身の身を挺して私達を救った。 その姿から「家族は大切にしなければならない。守らなければならない。」 そういうメッセージが長女には伝わっていた。だから…ここは姉である自分がしっかりしないといけないと思ったのだろう。 今まで泣くだけだった妹達もその姉の言葉に涙を拭い口々に言う 「JAOO…JAOOOO、JAOOOOOOO、JAOOOOOOOO!)(そうだね…かなちいけど、おとーしゃんとおかーしゃんのぶんもいきゅるよ!) 「JAOOOOOOOO、JAOOOOOOOO!」(ちからをあわちぇたら、きっとゆっきゅりできるよ!) 「JAO、JAOOOO!」(よち、ぎゃんばりょーね!) 「JAOOOO!」(ぎゃんばりょーね!) いつまでもくよくよしてはいられない。襲い掛かった不幸に対して苦しいと泣き叫ぶだけでは何も解決しないのだから。 と、誰からかお腹が盛大に鳴る。もう、起きてから半日程となる。一食抜かしても平気だろうが食べ盛りな4匹にとって空腹は耐えがたいことだった。 長女めーりんが妹達に提案する。 「JAOOO…JAOO、JAOOOOOO、JAOOOOO!」(おにゃかしゅいちゃね…おはなしゃんや、きのみをあちゅめて、みんなでたべよ!) 「「「JAOOOOO!」」」(ゆっきゅりりかいちちゃよ!) 半日泣きっぱなしでは空腹感もひどかったらしい。とりあえず、近くの植物や食べられそうな物を集めることにした。 30分程探す。まだ寒さの残る3月の半ばということもあって中々生命の実りはなかったが、幸いにも数本のたんぽぽを発見することに成功した。 「JAOOOOOO!!」(にゃんとかみちゅかっちゃね!) 「JAOOOOOO!!」(みんにゃでわけちぇたべようね!) 4匹は均等にたんぽぽを分ける。その量はさほど多くはなかったが初めて自分達の力で獲得した食べ物なのだ。そこには満足感と達成感があった。 と、1匹の赤めーりんが呟く。 「JAOOOOOOOOOO…JAOOO、JAOOOOOOOO・・・JAOOOOOOOO・・・」 (ちゃべもにょをみちゅけるにょはちゃいへんにゃんだにぇ…おとーしゃん、まいにちあんにゃにいっぱい取ってきちぇ…しゅごいことだったんだにぇ…) 「JAOOOO・・・」(おとーしゃん・・・) また一匹がボツリと漏らす。しんみりとした空気が流れるが、長女めーりんが妹達を励ます。 「JAO、JAOOOOOO!、JAOOOOOOO、JAOOOO、JAOOOO、JAOOOOOOO!!」 (みんな、かにゃしんぢぇるひまはにゃいよ!めーりんたちががんばっちぇいきにゃいと、おとーしゃんも、おかーしゃんもきゃにゃしむよ!!) その言葉に同調するように、次々に元気良く3匹が続く。 「JAOO!JAOOOOOO、JAOOOOOOOOOOO!!」(しょうだねぇ!おにゃかもいっぱいだち、こんどはゆきゅりできりゅとこりょをちゃがちょう!) 「JAOOO!JAOOOOO!」(よーち、みんにゃでちゃがちょう!) 「JAOOOO!」(ぎゃんばりょー!) 今度は、眠り、休息を取る為のゆっくりプレイスを求めて4匹は歩き出す。 木の下や、穴をいくつか見つけるが、既に他のゆっくり達の巣となっており中々、空いている場所が見つからなかった。 途方に暮れ、野宿も考え始めていると、小さな洞窟を発見した。 「JAO、JAOO!JAOOOOO!!(みんな、みちぇ!!あしょこにどーくちゅがあるよ!) 「JAOOO!JAOOOOOOOOOOO!」(ほんちょだ!みんにゃではいっちぇみよぉ!) 入り口は非常に小さいものの、中は意外に広かった。他のゆっくりが住んでいる形跡もない。ひとまずここでゆっくりすることにした。 「JAOOO…JAOOOOO、JAOOO…」(ちゅかれちゃね…ほきゃにだれもいないち、きょきょでねぇよっか…) 赤めーりん達は巣を探して2時間程彷徨っていてくたくただった。その意見に同意する。 「JAOO…」(ちゃんちぇい…) 「JAOOOO…」(めーりん、ちゅかれちゃよ…) 「JAOOOOOO…」(ゆっきゅりねぇようにぇ…) 4匹はお互いに寄り添うようにして深い眠りへと堕ちていった。 ―――翌朝――― 「JAOOOOO!」(ゆっきゅりちていっちぇね!) 長女の朝の挨拶により、妹達も目が覚める。 「「JAOOOOO!」」(ゆっきゅりちていっちぇね!) だが、末っ子めーりんが中々起きようとしない。次女めーりんがめーりんに軽く体当たりして起こそうとする。 「JAOO、JAOOO!」(めーりん、おきちぇね!) 末っ子めーりんはその衝撃でようやく目が覚める。 「JAO・・・JAO…OOO…」(ゆ…ゆっきゅり…ちてぃっちぇ…) 目は開いたが再び寝入りそうな程うとうとしていた。 「JAO…JAOOOOOOO…JAOOOOOOOJAOOOOOOO!)(もう…めーりんっちゃら…みんなでちゃべもにょちゃがちににいきゅよ!) 三女めーりんが無理矢理末っ子めーりんを引っ張ろうとするが長女めーりんがそれを止める 「JAOOOOOOOOOOO!JAOOOOOOOOOOOO!」(めーりんはまだねぇみゅいんだょ!いもーちょはたいちぇちにちないちょだぁめだょ!) 次女もそれに続く。 「JAOO。JAOO、JAOOOOOOOOOOOO、JAOOOOOOOOOOOO、JAOOOOOOOO。」 (そうだね。それぇに、ちきゃきゅにょおはにゃしゃんと、きにょみしゃんをひりょうだけぢゃから、3にんでじゅうびゅんだょ。) 「JAOOO…JAO、JAOOOOOOOOOOOOO!」(ゆっきゅりりかいちちゃよ…じゃあ、めーりんはゆっきゅりまっちちぇねぇ!) 姉達の心優しい言葉に末っ子めーりんはうとうとしながらも返答する。 「JAOOO…JAOOO、JAOOOOOO…」(ありがちょう…おねえちゃん、ぎゃんばっちぇねぇ…) そして、再び眠りについてしまった。 「JAO、JAOOOOOOOOOOOO!」(しゃあ、いもーちょのびゅんまでぎゃんばりょうね!) 姉3匹は末っ子めーりんを残して狩に出かけた。 …この選択肢が正しかったのか否かは…この段階ではまだ判らなかった。 妹の分の食料も獲ろうと意気込み、外へ出て行く3匹の姉めーりん達。 洞窟の外ではうーうーという呻きが聞こえてきたのは空耳なのか…それとも… 「JAOO…」 末っ子めーりんが目を覚ました。惚けた顔で大きな欠伸をした後、しばらくの間ぼけーとする。 意識が徐にはっきりとしてきたので周りを見回す。…が、姉達の姿はどこにもない。とても不安になり、泣き叫んだ。 「JAOOOOO!JAOOOOOOO!?JAOOOOOOOO!!」 (おねぇーちゃん!どきょいっちゃにょー!?へんじちてぇにぇー!!) だが、叫びは虚空へと響き、無機質に跳ね返ってくるだけだった。めーりんは不安と焦りからか、今にも泣きそうな顔を作る。が、ここで思い出した。 (・・・あ、ちょっか!おねぇーちゃんちゃち、ちゃべもにょしゃがしにいっちゃんだっけ…) そう、姉達は一時的に居ないだけ…そう思うと先刻の不安は一気に消え失せた。 一人は少し寂しいものの、姉達の帰りをゆっくり待つことにした。 おかしい。絶対におかしい。もう、2時間分…いや、めーりんが一度寝始めてから換算すると3時間程経つ。 めーりんは一人でずっと待っていた。歌を歌ったり、飛び跳ねたりして寂しさを紛らわしながら。 なのに、一向に帰ってくる気配がなかった。 始めのうちは、たくさん食べ物を獲っているから遅くなっている。きっとなかなか見つからなくて苦労しているのだろう。と、無理矢理納得させてはいたが… いくら何でも遅すぎる。再び不安が襲い掛かってくる。それに、めーりんの空腹は限界に達していた。 とりあえず、空腹を満たさなければ…外には花の1本や2本ぐらいあるだろう。そう思い、めーりんは外に出ることにした。 外に出て、何か食べ物はないかと捜し求めていると、地面に不審な”何か”があった。それは…とても、薄っぺらかった。同じ様な物が3つ程落ちている。 「JAOOO…?」(にゃんだりょう…?) 疑問と警戒を持ちつつ”何か”触れてみる。少しもちっとしていた。そして、恐る恐る一口齧ってみる。 「JAO…JAO…」 ゆっくりと咀嚼してみた。決して不味くはない。どうやら食べられそうだと判断しためーりんは、”何か”を食していく。 1つ丸々食べ終える。まだ2つ残っていたものの、空腹は十分に満たされた為、それ以上は口にしなかった。 と、”何か”の近く緑色の物体が3つ落ちていることに気付いた。 「JAO?JAOOOOOOOO?」(ん?まちゃなにきゃおちちぇるよ?) それは…良く見ると…被る物のようで…星のマークがあった。 あれ…? あれ…? あれ…? あれ…? これ…どこきゃでみちゃこちょあるよ…? と、突然風が吹き、めーりんの帽子をさらってゆく。 「JAO!!JAOOO、JA…」(まっちぇ!!めーりんの、ぼ…) あれ…? あれ…? あれ…? あれ…? いまみちゃにょ、めーりんのぼうししゃん…しゅごきゅにちぇるよ…にゃんで…3ちゅもあるにょ…? めーりんは、帽子を拾うと、”何か”に、ゆっくり、近づいて、恐る恐る、口に咥え、ひっくり返す。 そこで、めーりんに衝撃が走った。 …裏返したものには…顔があった。すごく苦しそうで、悲痛な顔があった。…それは、その顔は… あれ…? あれ…? あれ…? あれ…? こにょきゃお…おねぇーちゃんにょかおとちょっきゅりだよ…? ―――次ノ瞬間、メーリンノ中デ何カガ切レタ――― 「JAOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!」 激しく咆哮すると、その場を一目散に逃げ出した。 …めーりんは、全てを知ってしまったのだ…”何か”の正体は、姉だったということを 姉は死に、自分は姉を ―――タ ベ テ シ マ ッ タ――― ということを うそだ!うそだ!!うそだ!!!うそだ!!!!うそだ!!!!!うそだ!!!!!!うそだ!!!!!!!うそだ!!!!!!!!うそだ!!!!!!!!! そう、何度も否定しても…何度も忘れようとしても…鮮明に頭に刻まれてしまう。 ―――わたしは姉を食べてしまった――― ―――わたしは一人ぼっちになってしまった――― 両親を失い、枯れてしまった涙も再び溢れてくる。もう…死にたかった。もう…ゆっくりなんて出来なかった… めーりんは希う おかーしゃん、おとーしゃん、おねーちゃん…ごめ゛ん゛な゛じゃ゛い゛。めーりんはわるいきょでちゅ。 あにょとき、ちゃんとおきちぇいれば…いっちょにちょとにいっちぇいれば…おねーちゃんちゃちはたしゅかっちゃきゃもちれない… めーりんを、いましゅぐころちちぇくだしゃい… ごめ゛ん゛な゛じゃ゛い゛ごめ゛ん゛な゛じゃ゛い゛ごめ゛ん゛な゛じゃ゛い゛ごめ゛ん゛な゛じゃ゛い゛ごめ゛ん゛な゛じゃ゛い゛ごめ゛ん゛な゛じゃ゛い゛… 「JOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!」 突然、めーりんが吼える。辺りは真っ暗だ。はっとなり、周囲を見渡す。 ここは…小屋…そうだ、進むのお父さんが作ってくれた。 そう、めーりんは…過去に自分に降りかかった出来事を夢見ていたのだ。 夢だと理解したかどうかは分からない…が、まだ幼いめーりんには耐え難い程悲しく、辛い。…涙を流すしか逃れる術はなかった。 「JAOOOOOOOOO!!JAOOOOOOO!!」 悲しい咆哮を上げ、泣き叫ぶ。壊れたラジオのように… 「…めーりん?…どうしたの?…」 と、めーりんの泣き声に進が目を覚まし、小屋の戸を開け、めーりんに話しかける 「JAOOOOOOOO!!JAOOOOOOOO!!」 「怖い夢でも見たのかな…?こっちにおいで。一緒に寝よっか。」 優しい声で話しかける。と、すぐにめーりんが進の方に寄り、胸に飛び込んだ。 その衝撃に進はよろけるが、しっかりとめーりんを受け止める。 「よしよし…怖かったね…でも、もう大丈夫だよ。」 「JAOOO…!!JAOOO…!」 少しずつ泣き叫ぶ声が弱弱しくなってゆく。進は、めーりんを安心させようと優しい言葉を掛け続ける。 が、めーりんのこの重い過去等知らない進には、その辛さを和らげ、共に背負うことはこの時点では叶わなかったのだった。 ~続く~ 以上、ひもなしでした。愛でスレにてアドバイスを下さった方々、ありがとうございます。 気が弱い性分なので偉そうなことは言えませんが…私の作品を読んでいただけるだけで大変嬉しいです。 今回は幾つか補足を入れておきます。 1.めーりんの姉達は捕食種・れみりゃの集団に襲われ、中身を吸い取られてしまいました。 2.この後、めーりんは生きているという意味が分からなくなり、さ迷い歩きました。気がついたら人の住む町にまで降りてきました。そして、この後、一話にでてきた5匹から攻撃を喰らい、進と出会う…といった時間系列です。 姉めーりんのデスマスクを想像しちゃったよ・・・(泣 -- 名無しさん (2011-08-27 18 43 38) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/346.html
※ゆっくりめーりんの設定はゆっくりいじめ系352 虐められるゆっくりの人の設定をお借りしています。 勝手にお借りして申し訳ありません。 今日もゆっくり達は、仲良くゆっくりめーりんを虐めていた。 「ゆっくりしないで! はやくご飯をとってきてよ!」 「ごはんとってこれないめーりんは本当にやくただずだよ! もうあいてにしないよ!」 「あなたってほんとうにさいていのくずね! とかい派のありすがいなか臭いあなたにずっとつきあってあげてるんだから早くごはんをもってきて!」 それぞれが好き放題に叫びながら飛び跳ね、めーりんを押し潰そうとしていた。 皮が丈夫なめーりんは決して潰れたりはしないが、四方八方から攻められ、体は激しく痛みを訴えている。 普通なら悲鳴を上げそうなところだが、ゆっくりでも珍しく喋れないめーりんはただみんなから一方的に攻められ続けた。 暴行が行われている草むらの片隅では、ゆっくりぱちゅりーが器用にページをめくりながら本を読んでいる。一度も、目を逸らすことはない。 普段通りの光景に、目を奪われる理由がなかった。 「はやく探してきてね!」 「みつかるまで戻ってこないでね!」 2匹掛かりで突き押され、めーりんは大きく吹き飛ばされる。 倒れためーりんに駆け寄るものはいない。そもそも暴行が終わればすぐに、ゆっくり達の中ではいないことになっている。 しばらく倒れたままだったが、ゆっくりと体を起こすと、めーりんはそのまま餌を探しに森へ入っていった。 目尻を下げ、終始、やせ我慢の笑みを浮かべていた。 樹の根本に多くの芋虫を見つけ、泣きそうな顔で口に咥えてゆっくり達の元へ持って行っためーりん。 もちろんめーりんに分けることなく、ゆっくり達は「むーしゃむーしゃ、しあわせー♪」と持ってきた芋虫を食べ尽くした。 ただ唯一、ありすだけは「とかい派にいもむしなんて、どうしてあなたはそんな最低なくずなの!」と罵りながら食べていた。 ご飯も食べ終わり上機嫌なゆっくり達に、めーりんは近寄っていく。ご飯を必死に探して疲れているめーりんだが、みんなと遊びたい気持ちが疲れた体を自然と動かす。 しかしゆっくり達にとって、めーりんは餌を手に入れたらもう用はなく、まるで汚いものを払うようにめーりんを追い遣った。 「きょうはどこでゆっくりする?」 「大きな木の下でみんなでゆっくりしよう!」 「むきゅー、本を読んでゆっくりする」 「わたしがみんなにとかい派のゆっくりの仕方をおしえてあげるわ!」 めーりんを放っておいて、ゆっくり達はみんな揃ってどこかへ行ってしまった。 空気が重くなる。 項垂れるように下を向いていためーりんだが、やがて顔を上げると、ゆっくり達とは反対方向へ進んでいく。 今日も、あそこへ行こう。 そう思いながら、元気に飛び跳ねていった。 大きな段差の目立つ道を、めーりんは飛び跳ね、たまに転がり落ちたりしながら進んでいく。 普通のゆっくりなら進めそうにない荒れ地も、頑丈なめーりんならどうにかなる。 そして最後の段差を飛び越えて森を抜けると、辺り一面に匂いを漂わせる花畑にたどり着いた。 何度も見ている風景だが、花好きのめーりんはいつも森を抜けた瞬間、目を輝かせて喜んでしまう。 「……」 森の方からやって来る赤い髪を見つけ、ゆっくりゆうかは思わずため息をついた。 ゆうかは、ゆっくりの中でも生まれつき植物を育てられる珍しい種族だ。 意図して歩けば土が耕せ、意図して念じれば口から種が出せる。 わざわざ狩りに行かなくても自給自足でき、その余裕がゆとりを産んだのか、育てている植物には愛でる為の植物まである変わり種だった。 そんなゆっくりゆうかだが、他のゆっくり達との仲は悪い、お互いに敵対している。 ゆうかは、見つけたらすぐに食料だと花畑や畑を荒らすゆっくりに憎悪を持ち。 ゆっくり達は、食料を独り占めしたがるゆうかに怒りを覚えていた。 せっかく育てた植物たちを一瞬で台無しにされては敵わず、ゆうかは森の奥や山奥に住んでいるものの、住処は巧妙に隠し、自身も危険を感じればすぐさま身を隠し、見つからないように注意していた。 そんなゆうかを、めーりんは数日前、餌を探している最中に偶然見つけていた。 油断したと、ゆうかは激しく後悔している。 ゆうかは近づいてくるめーりんを歓迎してやるつもりもなく、花畑の手入れを続けていく。 めーりんも慣れたもので、そんなゆうかの態度に微笑みながら、近くの樹にもたれかかった。 そこから見える4色のキャンバスが、めーりんの心をゆっくりさせてくれた。 後ろから感じる熱烈な視線に、ゆうかはげんなりしていた。 初めてここに来て以来、あの赤い髪のゆっくりはずっとここにやって来るが、そんなに暇なんだろうか? 初めに「他のゆっくりには話すな」と釘を刺しておいたが、それ以後も他のゆっくりはここには来ていないので、約束は守っているらしい。 1度も話した事がないため、ゆうかめーりんの真意が掴めないでいた。 手入れを終え、ゆうかは渋々めーりんへ近づいていく。 いつもは鬱陶しいので無視していたが、今日ぐらいは話をしてやろうか。そんな事を思いながら。 すると、めーりんは樹にもたれかかったまま眠っていた。 「……」 その幸せそうな顔に、ゆうかは怒る気も失せた。 めーりんの隣でゆうかも樹にもたれ掛かる。 「……」 そこから見える、花たちの喜んでいる姿。 心地よい風景に、寝てしまうのをどこか納得しながら、ゆうかはゆっくり過ごしていった。 ゆっくり達はゆっくりしながら話し合っていた。 内容は、最近のめーりんは虐めてもすぐに笑って気持ち悪い、なに? 死ぬの? という内容だった。 「あんなににこにこしてるなんて、ゆっくりできないよ!」 「それにえさを見つけてくるのがさいきんおくれてるよ! ゆっくりするなっておしえこまないと!」 「あんなさいていのクズがにこにこしているなんて、とかい派からみてもいじょうだわ! なにかりゆうがあるのよ!」 「むきゅ、ゆっくり原因をかいめいしましょう」 ゆっくり達のエサ探しも終わって、めーりんがいつも通りゆうかの花畑へ向かっていく。 今日のめーりんは、エサを探している時から終始ご機嫌だった。 一緒にいるゆっくり達に1度も虐められなかったのだ。 小さい頃、道ばたに1匹で泣いていためーりんを拾ってくれて以来、初めての事に、めーりんは人生でもっとも上機嫌になりながら、花畑へと向かっていった。 めーりんがまず目にしたのは、地面に横たわるゆうかの姿だった。 「むきゅー。ゆうかとつるんでいたなんてわからなかったわ」 「もうちょっとでゆっくりできなくなるところだったね!」 「あいつはほんとうにさいていのクズね! いなかものがいなかものと一緒にいるなんてさらにたちがわるいわ」 倒れているゆうかに、3匹はさらに攻撃を加えていく。 ゆちゅりーは後ろにいたうーパックに声をかけた。 「うー♪」 「むきゅ。運んでくれてありがとね。お礼にたくさん食べていっていいわよ」 「う~♪」 許可をもらって、うーパックはたくさんエサの見える花畑へ飛んでいく。 ゆうかの自慢の花畑は、今や何十匹というゆっくり達に荒らされていた。 「むーしゃむーしゃ、しあわせー♪」 「うめぇ! メッチャうめぇ!」 「うまい! もういっぽん!」 昨日まで元気に空へと伸びていた茎は、歯ごたえがいいとゆっくり達に噛み砕かれ、大きく開いていた花びらは甘いデザートと飲み込まれている。 愛でるなんて感情のないゆっくり達は、自分が先だと必死に口へ放り込んでいった。 めーりんがなぜにこにこしているのか原因を調べようとしたゆっくり達は、まずうーパックに、めーりんの後をつけるようにお願いした。 すると、ゆうかとめーりんが密会している事実が発覚する。 ゆうかがこの近くにいると知ったゆっくり達は、この近くにいた群れへその情報を売り、一緒になってゆうかの住処へと攻め込んだのだ。 元々捕食種なゆうかも抵抗したが、多勢に無勢。今や瀕死となって這いつくばっている。 ゆうかは後悔していた。 めーりんと勘違いして隠れなかった自分の迂闊さに、激しく後悔していた。 新たに感じた衝撃に、ゆうかの意識は途切れまぎれになる。 このまま殺されるのか……。 心が挫けかけたゆうかに、ふと森の出口で震えているめーりんの姿が映った。 突然こっちを見たゆうかに固まるめーりん。どうしたらいいのかわからない。 ゆうかはそんなめーりんを。 憎悪を込めた目で睨みつけた。 めーりんの心を罪悪感が蝕む。 ふと、そのまま動かないめーりんを見て、ゆうかは正気に返った。 話した事はないが、今まで何ども顔を合わせた仲だ。どういう性格かは、なんとなくわかっている。 一瞬、ここの場所をばらしたのかと思って睨み付けてしまったが、そんなことをするゆっくりじゃなかったと思い直した。 ゆうかは思う。 もしまたゆっくりできたら謝らないと……。 ……その時こそ、話せるかな。 「ゆっくりしね!」 頭上から聞こえた声と共に、ゆうかの体を激しい衝撃が襲う。 その一撃で、ゆうかの意識は遠のいていった。 「やったねまりさ! これでゆっくりできるね!」 「そうだねれいむ! いっしょにゆっくりしようね!」 「とかい派のありすもわすれちゃいやよ!」 喜び合う3匹。1匹だけ離れたゆちゅりーも笑顔で応える。 その様子が引き金となって、めーりんは飛び出していった。 「ゆ?」 飛び出してきたのがあのめーりんだと気づくと、ゆっくり達の雰囲気が一変した。 「……なに、あなた」 「……ちょうしにのってるなら、ゆっくりさせないよ」 睨まれても怖じ気づかず、めーりんはゆっくり達を見据える。 全力で、目の前のゆっくりまりさへ突撃した。 「うおっ!」 「まりさっ!?」 ゆっくり達の悲鳴が上がる。 「……っ!」 めーりんは生まれて以来、初めて浮かべた険しい形相で、ゆっくり達に立ち向かっていった。 「うーんしょ、うーんしょ……」 「むきゅー、むきゅー」 「ぱちゅりー、むりしなくてもだいじょうぶよ。ゆっくりすすんだらいいわ。とかい派はゆうがにこうどうするものよ!」 「ゆっくりがんばろうね!」 お互いに塞がった口でどうにか声を掛け合って進んでいく。 加えているのはゆっくりの角。 めーりんの厚い皮がどれぐらい伸びるかと思い、4匹は引き延ばし続けていた。 「……ッ!!」 めーりんの体が痙攣する。今までにない激痛に白目を向き始める。 「むきゅ、これぐらいがげんかいかも。けいれんしているわ」 「そうね! いなかもののさいていなクズじゃこれぐらいがせいいっぱいよね!」 「それじゃゆっくりうまくやろうね!」 体長が30センチほどだっためーりんが、凧型に2メートルほど伸びたところで、ゆっくり達は口を離し、戻らないように体で咥えていた先を踏んでおいた。 しばらくすれば、めーりんは2メートルの凧で固定され、二度と歩き回る事はできなくなるだろう。 めーりんを下敷きにして4匹がゆっくりしていると、うーパックがゆちゅりーのところへやって来た。 「うー♪」 「そう、こちらこそおつかれさま」 律儀に、別れの挨拶をしに来たらしい。 そのまま飛び去っていこうとしたうーパックに、ふと、ゆちゅりーは声をかけた。 「むきゅー、ごめんなさい。さいごのしごとをたのめるかしら」 「うー?」 うーパックに仕事の内容を伝える。 「うー♪」 了解したと返事をすると、うーパックはその場から飛び去り、しばらくしてまた戻ってきた。 「こっちこっち」 「うー♪」 ゆちゅりーに指示され、飛ぶ位置を変えていく。 指示通りの位置へたどり着いた事を確認すると、うーパックは中のものを落として飛び去っていった。 突然、響いた衝撃に意識を失いかけていためーりんの目が動く。 落ちてきたのは、ゆうかの死体だった。 「……っ!?」 「なかよしだったでしょ? あげるわ」 ゆちゅりーの声もめーりんの耳には入っていない。 歯を鳴らし、ただ置かれているゆうかの体に震えている。 めーりんの広がった皮へ、俯せになるようにゆうかは置かれている。 しかしその体が突然起き上がり、あの目で睨まれる姿がめーりんの脳裏に映っていた。 怖かった。 ゆうかの、憎悪の込められた目が怖かった。 恐怖の限界を超えためーりんは、完全に白目を向いて気を失う。 しかし、ゆうかのように死ぬことはない。 4匹にめーりんを連れて帰るつもりなどなかった、このままここへ放置していくつもりだ。 目が覚めれば動けないまま、めーりんの目の前にはゆうかの頭が待っているのだ。 めーりんはここで餓死するまで、恐怖に震える事だろう。 4匹の楽しげな声が辺りに響く。 まるで、ゆっくり出来ないめーりんを祝福しているようだった。 End ワンパターンという名のお約束展開。捻りのなさに俺が泣いた。 たぶん虐めた奴への報復虐待ネタは誰かが書くと思うので、あえてめーりん虐めで。 あの皮の破れないめーりんを限界まで引き延ばし、その上に親愛なゆっくりの死体を置いてやりたかった。 めーりんは、涙目が、可愛いな。 ゆっくりゆうかの設定は、151氏の不安定性突然変異?の設定を参考にさせてもらいました。 ありがとうございます。 なんだかあいつら生きててすっきり出来ないぞという人は、 別の人達が4匹に制裁する続きを書いてくれたのでそちらをどうぞ。 ゆっくりいじめ系368 ゆっくりメーリン 幽香×ゆっくり系7 ゆっくり後悔し続けてね!? 幽香×ゆっくり系8 ゆっくりメーリン2? by 762 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/361.html
※オリジナルキャラの少年が出演します。名前も便宜上付けさせてもらいました。 きずな②~触れ合い~ めーりんの今にも寝入りそうな顔に少年は焦りを感じた。 「ダ、ダメだよ!今寝たら…死んじゃうよ!」 実はめーりんは丈夫な体と高い再生力を持つ為、この程度の傷であれば半日程安静すればほぼ治癒する。だがそれは安全な状態にあるという前提の下に保証されること。 あのまま5匹のゆっくりに攻撃を続けられていたら間違いなく絶命していたに違いない。その点において少年がめーりんを救ったと言っても過言ではない。 だが、そんなことを知らない少年にとっては当然の焦りと言えよう。 少年はめーりんを落とさぬようにしっかりと抱きかかえ、駆け出した。自宅に向かったのだ―――めーりんを助ける為に――― 少年疾走中… 走ること15分、息も絶え絶えに家に着くと勢い良くドアを開ける。 「ただいまー!!」 「お帰りなさい、進(すすむ)。」 少年―進―の母親が奥から出てきた。が、進の泥だらけの服が目に入るとすぐに顔をしかめる。進は母親の姿を認識した瞬間さっとめーりんを背中に隠した。 「もう…こんなに服を汚して…ん?…今、何か持ってなかった?」 「な、何でもないよ!…うん、何もでもない!」 ばればれの嘘である。ひきつった笑みを浮かべ、自分の部屋へと向かう。 「こら~進!手を洗いなさーーい!!後、服も脱いどいて、洗うから!」 はーいという返事が響く。 「全く…何を持って帰ったのかしら…」 手を洗い、脱衣所で服を脱ぎ着替えると大急ぎで自室へ入った。めーりんをちょこんと床に降ろす。 「ふう…大丈夫…なのかな?」 めーりんの傷は先刻と比べると幾分かマシになっているように見えるが…。進がめーりんの傍で耳を立てる。すやすやと安らかな寝息が聞こえてきた。進はようやく安堵する。めーりんが大事に至っていないということに気づいたのだ。 「この子、結構丈夫なんだなぁ…」 ゆっくりはまんじゅうの化身などと聞いたことがある。もっと脆い生き物だと思っていた進だが、めーりんのその生命力の高さに感服していた。緊張感が一気に抜け始めるとゆっくりと床に伏す進であった。 うつ伏せになりめーりんの安らかな寝顔を見る。 「なんか、良く見るとかわいい…かな?」 めーりんの頬はいかにも柔らかそうで触ってみたいという欲求が芽生えてくる。 「寝てるのに悪いけど…少しぐらいなら…」 つんと人差し指で触れてみる。 「うわぁ…すごいぷにってする。」 予想以上に柔らかく指がめりこんだ。思わず感嘆の声が上がる。と、めーりんの重そうな目蓋が徐に開いてゆく。 「JA…O…?」 人の寝起きのようにぼけーとしていた。 「あ、ごめん…起こしちゃった?」 めーりんは目をパチパチさせ進をじっと見つめる。進もめーりんを見つめ返す。…だが、何も喋らない…否、喋れないのだ。 そのまま2分程経過した。と、進はようやく気づく。 (あ、そっか…この子は喋れないんだっけ…?) 進から沈黙を破る。 「えっと…ケガは大丈夫?」 聞いても言葉が返ってくる訳ではないのだがめーりんの場合、知能が非常に高い。その為、人間の言葉を正確に解することができるのだ。 「JAOOOOOO!!」 元気な鳴き声が部屋に響く。めーりんは自身が無事であるということを顕示するかの如く飛び跳ねてみせた。 「良かった…元気みたいだね。」 「JAOOO!!JAOOO~JAOOOO!!」 めーりんはぺこりと頭を下げる。 「えっと…ありがとう…って言ってるのかな…?」 「JAOOOO!!」 今度は正解だと言わんばかりにぴょんぴょん跳ねる。進は相手の機微を察することの出来る子だ。たとえめーりんが言葉を喋れなくともこれ位読み取るのは容易いようだ。 「ははは…どういたしまして。」 一時はどうなるかと思った進だが、これ程元気ならば心配はなさそうだ。 「そうだ、えっと…君の名前は…めーりんだっけ?僕は進って言うんだ。よろしくね。」 「JAO、JAOOOOO!!」 めーりんが進に近寄り、胡坐の上に乗る。 「JAOOOOOOO!、JAOOOOOO!!」 「お…っと…はは、僕のこと気に入ってくれたのかな?」 今のめーりんの鳴き声はゆっくりで言うなら『すすむのあんよ、めーりんのゆっくりぷれいすにするね』と言ったところだろうか。 と、突然ぐーーーーという音が鳴る。 「ん?…なんだろう…今の音…」 不審に思う進はめーりんの表情を窺う。すると、めーりんは頬を赤らめて俯いている。 「もしかして…お腹減ったの?」 「JAOOOOOOO…」 めーりんはどこか恥ずかしそうな素振りを見せる。 「う~ん…あ、そうだ!確か…」 進はめーりんを手のひらに乗せ移動する。 「JAO…?」 自分の机の上にめーりんを置き引き出しを開けた。 「えっと…この辺に…あ、あったあった。」 進が見つけ取り出した物は板チョコだった。 「って…チョコ食べられるのかな?」 進は少し考え込む。一方のめーりんは野生である為、進の手の中にあるものが何なのかは分からないで首を傾げている。 「うーん…ちょっとだけなら…大丈夫だよね?」 板チョコをほんの一欠けら程割る。 「JAOO?」 「食べてみる?」 「JAOO!」 めーりんは食べるという意志を示すようにちょんと跳ねる。 「そっか。じゃあ、あーんて口開いて。」 「JAAAAAAN」 大きく開いためーりんの口の中にチョコを入れる。 「JAO♪JAO♪」 ゆっくりと咀嚼するめーりんを進はじっと見守る。 「どうかな…?食べられそう?」 そう尋ねるとめーりんの顔がぱあぁと輝き始める。 「JAOOOOOOOOOOOOO!!!」 チョコレート。それは自然界では決して存在することことのない人工的な甘味。えも言えぬ味というのは正にこのことかもしれない。それを始めて口にしためーりんの感動は谷よりも深かった。そして、その美味しさから満面の笑みを浮かべるのだ。 「良かった…すごく美味しいみたいだね。…もっと食べたい?」 「JAOOOO!」 催促するかの如く飛び跳ねるめーりん。結局その後、板チョコ半分程をあっさりたいらげてしまった。めーりんは幸せな顔を浮かべる。今にも天に召されそうだ。 「まだ、子供なのに…よく食べるんだなあ。」 進はその食欲に感服しながら、めーりんのだらけきった顔を突付いて遊ぶ。ヘブン状態となった表情を見て触れてみたくなったのだろう。 すると、めーりんがうとうとし始めた。どうやら、また眠くなってきたらしい。 「むう…眠たそうだね。…あ、さっき起こしちゃったからかな?」 進は、先程無理に起こしてしまったことを反省した。だが、食事を取って眠気に襲われるのは仕方が無い生理現象である。ゆっくりにとっても例外ではない。ただ、めーりん種は何故か他の種よりも遥かに多くの睡眠を取るという習性がある。 「JAOOOO…」 めーりんは欠伸をすると、徐に目蓋を閉じていった。 「あらら。もうよだれ垂らしちゃって…しょうがないなあ…」 くすりと笑うとそっとテッシュで拭き取る。 進は率直にこのめーりんと一緒に暮らしたいと思った。 この子と過ごせばきっと毎日が新鮮で、楽しくなる―――そう感じて――― これからのめーりんとの日々に思いを馳せ始める進であったが、その際、最大の難関になるであろう存在に気づいてしまった。 (…母さん…、許してくれるかな…?) そう、進少年の母親は…大のゆっくり嫌いなのであったのだ… ~続く~ 以上、ひもなしでした。 今、この話の構想を練り直してましたが思った以上に長引きそうなので削り中です。 あまり超長編になってもgdgdで途中で投げ出しそうで…そしてそんな失礼なことは避けねば。なんとか10話位には修まりそうなのですが…。 なんとか約週一のペースですが維持できないかもしれません。申し訳ないです。 来年の春を目処に完結を目指します。 最後に拙い文章を最後まで御覧いただきありがとうございました。 投下乙、ゆっくりと少年の交流が和む。しかしお母さんはゆっくり嫌いなのか、その経緯はこれからの話で明かされるのか?それとも単純な好き嫌い? -- 名無しさん (2008-10-05 00 48 46) 2008-10-05 00 48 46 コメントありがとうございます。 まだ明かすつもりはありませんでしたが… 母親は…ここでは割愛しますが過去にゆっくりとの因縁があるという設定です。 その内また詳しく投下しようと思っています。 -- ひもなし (2008-10-05 01 11 30) めーりん可愛(・∀・)イイ!!続き、ゆっくりとお待ちしておりますー -- 名無しさん (2008-10-05 08 17 29) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/389.html
※ゆっくりめーりんの設定はゆっくりいじめ系352 虐められるゆっくりの人の設定をお借りしています。 勝手にお借りして申し訳ありません。 今日もゆっくり達は、仲良くゆっくりめーりんを虐めていた。 「ゆっくりしないで! はやくご飯をとってきてよ!」 「ごはんとってこれないめーりんは本当にやくただずだよ! もうあいてにしないよ!」 「あなたってほんとうにさいていのくずね! とかい派のありすがいなか臭いあなたにずっとつきあってあげてるんだから早くごはんをもってきて!」 それぞれが好き放題に叫びながら飛び跳ね、めーりんを押し潰そうとしていた。 皮が丈夫なめーりんは決して潰れたりはしないが、四方八方から攻められ、体は激しく痛みを訴えている。 普通なら悲鳴を上げそうなところだが、ゆっくりでも珍しく喋れないめーりんはただみんなから一方的に攻められ続けた。 暴行が行われている草むらの片隅では、ゆっくりぱちゅりーが器用にページをめくりながら本を読んでいる。一度も、目を逸らすことはない。 普段通りの光景に、目を奪われる理由がなかった。 「はやく探してきてね!」 「みつかるまで戻ってこないでね!」 2匹掛かりで突き押され、めーりんは大きく吹き飛ばされる。 倒れためーりんに駆け寄るものはいない。そもそも暴行が終わればすぐに、ゆっくり達の中ではいないことになっている。 しばらく倒れたままだったが、ゆっくりと体を起こすと、めーりんはそのまま餌を探しに森へ入っていった。 目尻を下げ、終始、やせ我慢の笑みを浮かべていた。 樹の根本に多くの芋虫を見つけ、泣きそうな顔で口に咥えてゆっくり達の元へ持って行っためーりん。 もちろんめーりんに分けることなく、ゆっくり達は「むーしゃむーしゃ、しあわせー♪」と持ってきた芋虫を食べ尽くした。 ただ唯一、ありすだけは「とかい派にいもむしなんて、どうしてあなたはそんな最低なくずなの!」と罵りながら食べていた。 ご飯も食べ終わり上機嫌なゆっくり達に、めーりんは近寄っていく。ご飯を必死に探して疲れているめーりんだが、みんなと遊びたい気持ちが疲れた体を自然と動かす。 しかしゆっくり達にとって、めーりんは餌を手に入れたらもう用はなく、まるで汚いものを払うようにめーりんを追い遣った。 「きょうはどこでゆっくりする?」 「大きな木の下でみんなでゆっくりしよう!」 「むきゅー、本を読んでゆっくりする」 「わたしがみんなにとかい派のゆっくりの仕方をおしえてあげるわ!」 めーりんを放っておいて、ゆっくり達はみんな揃ってどこかへ行ってしまった。 空気が重くなる。 項垂れるように下を向いていためーりんだが、やがて顔を上げると、ゆっくり達とは反対方向へ進んでいく。 今日も、あそこへ行こう。 そう思いながら、元気に飛び跳ねていった。 大きな段差の目立つ道を、めーりんは飛び跳ね、たまに転がり落ちたりしながら進んでいく。 普通のゆっくりなら進めそうにない荒れ地も、頑丈なめーりんならどうにかなる。 そして最後の段差を飛び越えて森を抜けると、辺り一面に匂いを漂わせる花畑にたどり着いた。 何度も見ている風景だが、花好きのめーりんはいつも森を抜けた瞬間、目を輝かせて喜んでしまう。 「……」 森の方からやって来る赤い髪を見つけ、ゆっくりゆうかは思わずため息をついた。 ゆうかは、ゆっくりの中でも生まれつき植物を育てられる珍しい種族だ。 意図して歩けば土が耕せ、意図して念じれば口から種が出せる。 わざわざ狩りに行かなくても自給自足でき、その余裕がゆとりを産んだのか、育てている植物には愛でる為の植物まである変わり種だった。 そんなゆっくりゆうかだが、他のゆっくり達との仲は悪い、お互いに敵対している。 ゆうかは、見つけたらすぐに食料だと花畑や畑を荒らすゆっくりに憎悪を持ち。 ゆっくり達は、食料を独り占めしたがるゆうかに怒りを覚えていた。 せっかく育てた植物たちを一瞬で台無しにされては敵わず、ゆうかは森の奥や山奥に住んでいるものの、住処は巧妙に隠し、自身も危険を感じればすぐさま身を隠し、見つからないように注意していた。 そんなゆうかを、めーりんは数日前、餌を探している最中に偶然見つけていた。 油断したと、ゆうかは激しく後悔している。 ゆうかは近づいてくるめーりんを歓迎してやるつもりもなく、花畑の手入れを続けていく。 めーりんも慣れたもので、そんなゆうかの態度に微笑みながら、近くの樹にもたれかかった。 そこから見える4色のキャンバスが、めーりんの心をゆっくりさせてくれた。 後ろから感じる熱烈な視線に、ゆうかはげんなりしていた。 初めてここに来て以来、あの赤い髪のゆっくりはずっとここにやって来るが、そんなに暇なんだろうか? 初めに「他のゆっくりには話すな」と釘を刺しておいたが、それ以後も他のゆっくりはここには来ていないので、約束は守っているらしい。 1度も話した事がないため、ゆうかめーりんの真意が掴めないでいた。 手入れを終え、ゆうかは渋々めーりんへ近づいていく。 いつもは鬱陶しいので無視していたが、今日ぐらいは話をしてやろうか。そんな事を思いながら。 すると、めーりんは樹にもたれかかったまま眠っていた。 「……」 その幸せそうな顔に、ゆうかは怒る気も失せた。 めーりんの隣でゆうかも樹にもたれ掛かる。 「……」 そこから見える、花たちの喜んでいる姿。 心地よい風景に、寝てしまうのをどこか納得しながら、ゆうかはゆっくり過ごしていった。 ゆっくり達はゆっくりしながら話し合っていた。 内容は、最近のめーりんは虐めてもすぐに笑って気持ち悪い、なに? 死ぬの? という内容だった。 「あんなににこにこしてるなんて、ゆっくりできないよ!」 「それにえさを見つけてくるのがさいきんおくれてるよ! ゆっくりするなっておしえこまないと!」 「あんなさいていのクズがにこにこしているなんて、とかい派からみてもいじょうだわ! なにかりゆうがあるのよ!」 「むきゅ、ゆっくり原因をかいめいしましょう」 ゆっくり達のエサ探しも終わって、めーりんがいつも通りゆうかの花畑へ向かっていく。 今日のめーりんは、エサを探している時から終始ご機嫌だった。 一緒にいるゆっくり達に1度も虐められなかったのだ。 小さい頃、道ばたに1匹で泣いていためーりんを拾ってくれて以来、初めての事に、めーりんは人生でもっとも上機嫌になりながら、花畑へと向かっていった。 めーりんがまず目にしたのは、地面に横たわるゆうかの姿だった。 「むきゅー。ゆうかとつるんでいたなんてわからなかったわ」 「もうちょっとでゆっくりできなくなるところだったね!」 「あいつはほんとうにさいていのクズね! いなかものがいなかものと一緒にいるなんてさらにたちがわるいわ」 倒れているゆうかに、3匹はさらに攻撃を加えていく。 ゆちゅりーは後ろにいたうーパックに声をかけた。 「うー♪」 「むきゅ。運んでくれてありがとね。お礼にたくさん食べていっていいわよ」 「う~♪」 許可をもらって、うーパックはたくさんエサの見える花畑へ飛んでいく。 ゆうかの自慢の花畑は、今や何十匹というゆっくり達に荒らされていた。 「むーしゃむーしゃ、しあわせー♪」 「うめぇ! メッチャうめぇ!」 「うまい! もういっぽん!」 昨日まで元気に空へと伸びていた茎は、歯ごたえがいいとゆっくり達に噛み砕かれ、大きく開いていた花びらは甘いデザートと飲み込まれている。 愛でるなんて感情のないゆっくり達は、自分が先だと必死に口へ放り込んでいった。 めーりんがなぜにこにこしているのか原因を調べようとしたゆっくり達は、まずうーパックに、めーりんの後をつけるようにお願いした。 すると、ゆうかとめーりんが密会している事実が発覚する。 ゆうかがこの近くにいると知ったゆっくり達は、この近くにいた群れへその情報を売り、一緒になってゆうかの住処へと攻め込んだのだ。 元々捕食種なゆうかも抵抗したが、多勢に無勢。今や瀕死となって這いつくばっている。 ゆうかは後悔していた。 めーりんと勘違いして隠れなかった自分の迂闊さに、激しく後悔していた。 新たに感じた衝撃に、ゆうかの意識は途切れまぎれになる。 このまま殺されるのか……。 心が挫けかけたゆうかに、ふと森の出口で震えているめーりんの姿が映った。 突然こっちを見たゆうかに固まるめーりん。どうしたらいいのかわからない。 ゆうかはそんなめーりんを。 憎悪を込めた目で睨みつけた。 めーりんの心を罪悪感が蝕む。 ふと、そのまま動かないめーりんを見て、ゆうかは正気に返った。 話した事はないが、今まで何ども顔を合わせた仲だ。どういう性格かは、なんとなくわかっている。 一瞬、ここの場所をばらしたのかと思って睨み付けてしまったが、そんなことをするゆっくりじゃなかったと思い直した。 ゆうかは思う。 もしまたゆっくりできたら謝らないと……。 ……その時こそ、話せるかな。 「ゆっくりしね!」 頭上から聞こえた声と共に、ゆうかの体を激しい衝撃が襲う。 その一撃で、ゆうかの意識は遠のいていった。 「やったねまりさ! これでゆっくりできるね!」 「そうだねれいむ! いっしょにゆっくりしようね!」 「とかい派のありすもわすれちゃいやよ!」 喜び合う3匹。1匹だけ離れたゆちゅりーも笑顔で応える。 その様子が引き金となって、めーりんは飛び出していった。 「ゆ?」 飛び出してきたのがあのめーりんだと気づくと、ゆっくり達の雰囲気が一変した。 「……なに、あなた」 「……ちょうしにのってるなら、ゆっくりさせないよ」 睨まれても怖じ気づかず、めーりんはゆっくり達を見据える。 全力で、目の前のゆっくりまりさへ突撃した。 「うおっ!」 「まりさっ!?」 ゆっくり達の悲鳴が上がる。 「……っ!」 めーりんは生まれて以来、初めて浮かべた険しい形相で、ゆっくり達に立ち向かっていった。 「うーんしょ、うーんしょ……」 「むきゅー、むきゅー」 「ぱちゅりー、むりしなくてもだいじょうぶよ。ゆっくりすすんだらいいわ。とかい派はゆうがにこうどうするものよ!」 「ゆっくりがんばろうね!」 お互いに塞がった口でどうにか声を掛け合って進んでいく。 加えているのはゆっくりの角。 めーりんの厚い皮がどれぐらい伸びるかと思い、4匹は引き延ばし続けていた。 「……ッ!!」 めーりんの体が痙攣する。今までにない激痛に白目を向き始める。 「むきゅ、これぐらいがげんかいかも。けいれんしているわ」 「そうね! いなかもののさいていなクズじゃこれぐらいがせいいっぱいよね!」 「それじゃゆっくりうまくやろうね!」 体長が30センチほどだっためーりんが、凧型に2メートルほど伸びたところで、ゆっくり達は口を離し、戻らないように体で咥えていた先を踏んでおいた。 しばらくすれば、めーりんは2メートルの凧で固定され、二度と歩き回る事はできなくなるだろう。 めーりんを下敷きにして4匹がゆっくりしていると、うーパックがゆちゅりーのところへやって来た。 「うー♪」 「そう、こちらこそおつかれさま」 律儀に、別れの挨拶をしに来たらしい。 そのまま飛び去っていこうとしたうーパックに、ふと、ゆちゅりーは声をかけた。 「むきゅー、ごめんなさい。さいごのしごとをたのめるかしら」 「うー?」 うーパックに仕事の内容を伝える。 「うー♪」 了解したと返事をすると、うーパックはその場から飛び去り、しばらくしてまた戻ってきた。 「こっちこっち」 「うー♪」 ゆちゅりーに指示され、飛ぶ位置を変えていく。 指示通りの位置へたどり着いた事を確認すると、うーパックは中のものを落として飛び去っていった。 突然、響いた衝撃に意識を失いかけていためーりんの目が動く。 落ちてきたのは、ゆうかの死体だった。 「……っ!?」 「なかよしだったでしょ? あげるわ」 ゆちゅりーの声もめーりんの耳には入っていない。 歯を鳴らし、ただ置かれているゆうかの体に震えている。 めーりんの広がった皮へ、俯せになるようにゆうかは置かれている。 しかしその体が突然起き上がり、あの目で睨まれる姿がめーりんの脳裏に映っていた。 怖かった。 ゆうかの、憎悪の込められた目が怖かった。 恐怖の限界を超えためーりんは、完全に白目を向いて気を失う。 しかし、ゆうかのように死ぬことはない。 4匹にめーりんを連れて帰るつもりなどなかった、このままここへ放置していくつもりだ。 目が覚めれば動けないまま、めーりんの目の前にはゆうかの頭が待っているのだ。 めーりんはここで餓死するまで、恐怖に震える事だろう。 4匹の楽しげな声が辺りに響く。 まるで、ゆっくり出来ないめーりんを祝福しているようだった。 End ワンパターンという名のお約束展開。捻りのなさに俺が泣いた。 たぶん虐めた奴への報復虐待ネタは誰かが書くと思うので、あえてめーりん虐めで。 あの皮の破れないめーりんを限界まで引き延ばし、その上に親愛なゆっくりの死体を置いてやりたかった。 めーりんは、涙目が、可愛いな。 ゆっくりゆうかの設定は、151氏の不安定性突然変異の設定を参考にさせてもらいました。 ありがとうございます。 なんだかあいつら生きててすっきり出来ないぞという人は、 別の人達が4匹に制裁する続きを書いてくれたのでそちらをどうぞ。 ゆっくりいじめ系368 ゆっくりメーリン 幽香×ゆっくり系7 ゆっくり後悔し続けてね! 幽香×ゆっくり系8 ゆっくりメーリン2 by 762 このSSに感想を付ける